楽天証券のiDeCoで取り扱われている運用商品の特徴の1つとして、株式を投資対象とするファンドの割合が50%を切っていることが挙げられます。これは、他のネット系証券会社では見られない特徴の1つであり、債券やバランス型投資信託のファンドに代替されています。したがって、債券などを活用した資産レベルでの分散投資を行いたい人にとっては、楽天証券のiDeCoに加入するメリットがあるかもしれません。
また、楽天証券のiDeCoで取り扱われている32本の商品のうち、19本が他のネット系証券会社のiDeCoでは設定されていない楽天証券独自のiDeCo商品です(2022年12月12日現在)。例えば、SBI証券やマネックス証券、松井証券では設定されている「eMAXIS Slimシリーズ」(三菱UFJ国際投信)は、楽天証券のiDeCoでは設定されていないので、新規加入の申し込みの際には注意が必要です。
楽天証券におけるiDeCo対象ファンド |
区分 |
ファンド名 |
ファンド管理費用 (信託報酬を含む/税込み) |
国内株式 |
三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド |
0.18% |
たわらノーロード日経225 |
0.19% |
iTrust日本株式 |
0.98% |
MHAM日本成長株ファンド(DC年金) |
1.71% |
フィデリティ・日本成長株・ファンド |
1.68% |
コモンズ30ファンド |
1.08% |
国内債券 |
たわらノーロード国内債券 |
0.15% |
明治安田DC日本債券オープン |
0.66% |
国内REIT(リート:不動産投資信託) |
三井住友DC・日本リートインデックスファンド |
0.28% |
野村J-REITファンド(確定拠出年金向け) |
1.05% |
海外株式 |
たわらノーロード先進国株式 |
0.11% |
インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式 |
0.61% |
ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け) |
1.46% |
iTrust世界株式 |
0.98% |
楽天・全米株式インデックス・ファンド |
0.162%程度 |
海外債券 |
たわらノーロード先進国債券 |
0.19% |
たわらノーロード先進国債券(為替ヘッジあり) |
0.22% |
インデックスファンド海外新興国(エマージング)債券(1年決算型) |
0.57% |
みずほUSハイイールドファンド(DC年金) |
1.54% |
海外REIT |
三井住友・DC外国リートインデックスファンド |
0.30% |
国内外株式 |
セゾン資産形成の達人ファンド |
1.55% |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド |
0.21% |
コモディティ |
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり) |
0.90% |
バランス型 |
三井住友・DC世界バランスファンド(動的配分型) |
1.292%程度 |
三菱UFJDCバランス・イノベーション(KAKUSHIN) |
0.66% |
投資のソムリエ(DC年金) |
1.21% |
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド |
0.59% |
楽天・インデックス・バランス(DC年金) |
0.206%程度 |
ターゲットイヤー型(※) |
楽天ターゲットイヤー2030 |
0.86% |
楽天ターゲットイヤー2040 |
0.87% |
楽天ターゲットイヤー2050 |
0.87% |
楽天証券におけるiDeCo対象元本確保型商品 |
区分 |
商品名 |
適用金利実績 |
定期預金 |
みずほDC定期預金 |
0.002~0.025% |
※参照:楽天証券 | 確定拠出年金(iDeCo) 取扱商品一覧
※ターゲットイヤー型とは、投資家の年齢やライフステージにあわせて、運用会社が自動的に資産配分を決定・変更する投資信託です。一般的に、年齢が若いうちは株式などリスクが高い資産を多く組み入れ、年齢が上がるにつれてリスクが低い債券などによる安定的な運用に変わっていきます。
「元本変動型(投資信託)」と「元本確保型」
元本確保型商品(保険や預金)は原則として元本が確保されている運用商品ですが、低金利の状況では、元本確保型商品だけで運用しても資産は増えにくくなります。
元本変動型商品(投資信託)は、元本割れの可能性(リスク)がありますが、iDeCoでできる「長期・積立・分散投資」により、元本割れのリスクを軽減することができます。特に、長期投資で運用期間が長いほど、複利効果もあって元本を増やしやすくなります。
参照:iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会) | iDeCoではどうして投資信託が選ばれているの?
投資信託(元本変動型)
|
インデックスファンド |
アクティブファンド |
取扱本数 |
12 |
19 |
インデックスファンド
米国株のインデックス(指数)に連動した資産運用を行いたい人にとって、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は注目です。
通常、各ネット系証券会社は、米国市場の「S&P500指数」や「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」などをインデックスとして連動させるファンドをiDeCo商品として設定しますが、楽天証券のiDeCoにはありません。一方で、楽天証券のiDeCoが設定するこのファンドは、「CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)」に連動する運用成績を目指します。このインデックスは、中小型株も含めた米国株式市場の約4,000銘柄で構成されます。
つまり、このファンド1本で米国株を広くカバーすることができるため、米国株(企業)の成長を中長期的に取り込むことが可能であると考えられます。また、インデックスとしての分かりやすさという観点からも、投資初心者の方にとって最適なファンドかもしれません。
インデックスファンドとは
例えば、基準価格が日経平均株価(日経225)といったインデックス(指数)と同じ値動きをするような運用を目指すファンドのようなものを指し、一般的には投資初心者におすすめの運用先です。
参照:金融庁 | タイプ別資産運用スタイル
アクティブファンド
楽天証券のiDeCoにおけるアクティブファンドのうち、格付投資情報センター(R&I)主催の「 R&Iファンド大賞2022」では「明治安田DC日本債券オープン」が、「R&Iファンド大賞2021」では「セゾン・グローバルバランスファンド」が、それぞれ「iDeCo・DC部門」において優れた運用成績を示したファンドとして表彰されています。
前者はネット系証券会社では唯一、楽天証券だけがiDeCoの商品として採用しているファンドです。また、後者に関してはこの1つのファンドで世界中の株式と債券への分散投資をすることができます。したがって、地域および資産レベルでの分散投資をしたい人のニーズは、楽天証券のiDeCoでアクティブファンドを活用することで満たされるかもしれません。
アクティブファンドとは
独自に銘柄の選定を行い(アクティブ運用)、特定のインデックスを超えるリターンを目指すファンドを指します。
参照:金融庁 | 資産運用業高度化プログレスレポート2022
元本確保型
楽天証券のiDeCoにおける元本確保型商品は、「みずほDC定期預金(1年)」の1本で、適用利率(年率)は0.002%(2022年11月30日現在)です。ネット系証券会社のiDeCoでは、マネックス証券および松井証券も同様にこの商品を採用しています。
一方で、SBI証券のiDeCoにおける元本確保型商品である「あおぞらDC定期(1年)」は、適用利率(年率)が0.01%(2022年12月1日現在)のため、元本確保型商品単独で比較すると、SBI証券に優位性があります。
元本確保型商品を選択される際には特に、手数料に注意が必要です。毎月掛金を拠出しながら運用されている方の場合、掛金から手数料を控除した後の金額で商品を購入しますので、その手数料を上回るリターンがなければ、保有資産は目減りしていきます。