資産運用の強い味方である「IFA」(独立系金融アドバイザー)。日本で話題になり始めていることもあり、IFAを目指す人も増えている。この記事では、IFAになる方法や登録人数の推移、IFAの将来性などについて解説していく。
目次
IFAとは何か?
IFAは「Independent Financial Advisor」の略で、日本語では「独立系金融アドバイザー」「独立系ファイナンシャルアドバイザー」などと訳される。もともとイギリスやアメリカなどで発展した職業で、日本でも2004年の証券取引法改正を機にIFA事業がスタートした。
IFAは、金融機関や金融商品取引業者とのしがらみを持たず、顧客の資産運用の相談にのるプロのアドバイザー。金融商品の購入を顧客に代わって行うため、「金融機関の代理人」ではなく「顧客の代理人」と称されることもある。
日本におけるIFAは、個人金融商品仲介業者か金融商品仲介業者であるIFA法人に所属する外務員という側面を持つ。IFA法人は単独もしくは複数の証券会社に所属しているが、IFA自体は証券会社から独立した立場として位置付けられている。
ちなみに日本におけるIFAの人数は2021年6月末時点で4,738人。2020年12月末から474人も増えている。以下の表が、直近10年間のIFAの登録人数の推移だ。
<IFAの登録人数の過去10年間の推移>
年 | 登録人数 |
---|---|
2020年 | 4,264人 |
2019年 | 3,833人 |
2018年 | 3,455人 |
2017年 | 3,123人 |
2016年 | 3,104人 |
2015年 | 3,021人 |
2014年 | 3,012人 |
2013年 | 2,846人 |
2012年 | 2,632人 |
2011年 | 2,422人 |
なぜIFAが話題になっているのか?
IFAの登録人数が増えている一番の理由は、IFAを利用したいと考えている人が増えていることにある。つまり、IFAに対する大きなニーズがあるわけだ。ではなぜいま日本でIFAを利用したい人が増えているのだろうか。
顧客のニーズを優先した提案をしてくれる
特定の金融機関に所属しないIFAは、独立した立場で、しがらみのない提案ができると言われる。つまり、「金融機関の代理人」ではなく、「顧客の代理人」の側面が強く、より顧客のニーズを優先した投資の選択肢の提案が可能であるとも言える。
また、扱っている金融商品の種類も豊富な場合が多い。例えば投資信託の場合、一部の金融機関では投資信託を数十種類しか扱っていないケースがあるが、大手ネット証券会社に所属するIFA法人に登録しているIFAの場合、提案できる投資信託の種類は数千種類に上ることもある。
長年にわたって同じ人から投資助言を受けることができる
IFAは「個人」だ。そのため顧客の立場からみれば、自分の資産運用について長年にわたって同じ人から投資助言を受けられる。個人対個人であれば、信頼も構築しやすい。また、投資方針の確認などもやりやすいだろう。
銀行や証券会社ではなかなかこうはいかない。組織であれば、担当者は定期的に入れ替わり、長い付き合いや個々の信頼関係の構築も難しい。もちろん担当者が定期的に変わることで、さまざまな意見や提案が受けられるというメリットはあるが、やはり持続的なフォローという意味ではIFAに分があると言える。
IFAの将来性
IFAの将来性を考察する場合、2つの視点から考える必要がある。1つ目はマーケットの広がり、2つ目はIFAの優位性だ。
1.マーケットの広がり
資産運用をする人が今後増えていくかどうかがカギとなる。これまで、日本は欧米に比べると投資をしている人や投資に回す資産が少ない傾向にあった。しかし逆の視点で見れば、これは伸びしろが十分にあるともいえる。昨今、国がNISAなどを通じて資産運用を国民に奨励していることも追い風になっている。
2.IFAの優位性
これまで説明してきたとおりになるが、顧客本位の提案、長期にわたる関係性の維持、IFAはこれらを可能にすることができる。
この2つの視点から考えてもIFAの将来性は十分にあると言えるだろう。
IFAになるには?
IFAになるには、金融商品仲介業者であるIFA法人と業務委託契約を結ぶもしくは仲介業者の社員となるのが、一般的なアプローチだ。自ら金融商品仲介業者であるIFA法人を設立し、IFAビジネスを始めるというアプローチもあるが、開業や法人設立には手間やコストがかかる。
必要な資格は?
IFAになる際に必要となる資格が「証券外務員資格」。この資格には「一種外務員」と「二種外務員」があり、一種外務員の方が取り扱える金融商品が多いという特徴がある。ちなみに、二種の資格を有していなくても、一種の試験を受験でき、試験に際しては、受験資格などは特に設けられておらず、年齢や学歴も不問となっている。
ただし、一種の方が取り扱える金融商品が多い分、求められる知識も増えるため、試験の難易度が上がる。
証券外務員の試験は土日と祝日を除き、平日はほぼ毎日開催されており、試験に不合格となっても30日が経過すれば再受験可能。2020年度と2019年度における一種と二種の合格率は以下の通りだ。
年度 | 一種 | 二種 |
---|---|---|
2020年度 | 74.6% | 68.9% |
2019年度 | 67.6% | 65.2% |
必要なスキルは?
IFAになるには前述のとおり証券外務員資格が必要だが、それは最低条件だ。顧客に対して質の高いサービスを提供し資産運用の成功確率を高めるには、金融に関するさまざまな知識が必要だ。とりわけ時事トピックスに精通している必要がある。
また、顧客の課題などを聞き出すヒアリング能力や、顧客との信頼関係を築くためのコミュニケーション能力が求められることも頭に入れておきたい。
IFAビジネス支援サービスを展開する金融機関も
ニーズも高く、将来性もあるIFAを目指す人は年々増えている。これはライバルが増えているということでもあり、競争社会の現実がそこにあるのだ。IFAとしてのビジネスを軌道に乗せるには、さまざまなノウハウが必要となってくるだろう。できれば効率的にそのノウハウを身に着けたいものだ。
IFAビジネス支援サービスを展開する金融機関なども増えてきている。研修などを通じた営業活動の支援のほか、独自の専用WEBシステムを通じて顧客管理や受発注の管理が容易にできるようになっている。
IFAを目指している人やIFAビジネスを拡大しようとしている人は、このようなサービスを受けてみることもぜひ検討してみてほしい。
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