多彩な返礼品が魅力のふるさと納税ですが、節税対策として利用している人も多いのではないでしょうか。税の軽減効果を得るためには、いくつかの手続きが必要です。いつまでに何を準備して、どのような手順で進めるのか、しっかり把握しておきましょう。

今回は、ふるさと納税の手続きスケジュールと併せて、上手に利用するコツやメリットについても詳しくお伝えします。

ふるさと納税 いつまでに何をすればいいの?

ふるさと納税スケジュール いつまでに何が必要なのか徹底解説
(画像=perori/stock.adobe.com)

ふるさと納税に関する手続きのスケジュールは、以下のとおりです。

<ふるさと納税 税金控除にかかる手続きのスケジュール>

ふるさと納税1月1日~12月31日23時59分
※税金控除対象期間
ワンストップ特例制度 申請締切翌年1月10日 必着
※確定申告する場合は不要
確定申告期間翌年2月15日~3月15日
※必要な人のみ

年末から春先にかけて忙しくなるのがわかります。直前になって慌てないように、1つずつ詳しく解説します。

ふるさと納税 寄付金控除の締切は12月31日23時59分

ふるさと納税は「納税」という言葉を使っていますが、実態は自治体への「寄付」です。寄付金額に応じた「寄付金控除」によって、税金が軽減される仕組みです。

寄付自体に期限はなく、年間を通じていつでも可能です。ただし、税の計算は1年単位で行うため、毎年12月末が区切りになります。

-税金の計算期間は1月1日~12月31日

所得税や住民税は、毎年1月1日から12月31日の1年間の収入をもとに計算します。このとき、家族構成や社会保険料などの支払い状況によって税額が軽減される「基礎控除」が行われます。

ふるさと納税も同様に、1月1日~12月31日までの寄付金額の合計額から控除額を算出します。

-入金完了のタイムラグに注意!

下記の締切は、ふるさと納税の申込日ではなく「寄付金の入金日(受領日)」です。ふるさと納税サイトで「申し込み」を12月中にしていても、入金完了日が1月になってしまった場合は翌年分として扱われるため、注意が必要です。

<一般的な支払い方法別入金日>

銀行振込自治体の銀行口座への着金日
※12月30日15時まで
クレジットカード払い
携帯電話キャリア決済
決済完了日
※12月31日23時59分
コンビニ支払い支払い日
※12月31日23時59分
郵便書留自治体に届いて受領された日

システムエラーなどによって、数分から数十分の遅延が発生することもあります。金融機関の営業日や郵送にかかる時間、店舗の混雑状況なども考慮して、余裕をもって手続きをしましょう。

-自治体ごとの締切に注意

ふるさと納税は年末の駆け込み利用が多くなることから、自治体によっては12月末ではなく、早めに独自の締切を設けているところもあります。その場合は年内に入金が完了していても、翌年の扱いになります。

年末に利用する場合は、各自治体の締切をしっかり確認しておきましょう。

-入金日の確認は「寄付受領証明書」で

ふるさと納税で寄付を行うと、後日「寄付受領証明書」が送られてきます。そこに記載されている日付が寄付日になるため、確認しておきましょう。

ワンストップ特例制度の締切は1月10日

ふるさと納税で寄付金控除を受けるためには、確定申告が必要です。しかし、以下の条件に当てはまる人は「ワンストップ特例制度」を利用できます。

<ワンストップ特例制度の利用条件>
・ふるさと納税以外で確定申告をする必要がない
・ふるさと納税の寄付先自治体が、1年間で5自治体以内(6回以上寄付を行っていても、寄付先自治体が5つ以内ならばOK)

毎年会社で年末調整を行っていて他に申告するものがない人は、寄付先が5自治体以内ならば「ワンストップ特例制度」が便利です。その手順を確認しておきましょう。

-ワンストップ特例制度の申請書を準備

ふるさと納税を行うと、原則として寄付先の自治体から「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」が届きます。返礼品に同封されているケースや1年分をまとめて送られるケースなど、送付方法は自治体によって異なります。

手続きまでに申請書が間に合わない場合や紛失してしまった場合は、ふるさと納税サイトでダウンロードすることも可能です。

このとき、寄付1回につき1通の申請書が必要になることに注意してください。

-マイナンバーカードがあると便利

申請には、「マイナンバー」と「身元確認書類」が必要です。マイナンバーカードがあれば、身元確認書類を兼ねます。マイナンバーカードがない場合は、マイナンバー通知カードと運転免許証などの身元確認書類を準備しましょう。

時間があるときにマイナンバーカードや身元確認書類のコピーを数枚用意しておくと、手続きがスムーズです。

-1月10日必着!曜日に注意

ワンストップ特例制度の締切は、毎年1月10日です。ただし、この締切はそれぞれの自治体で「書類を受領した日」です。1月10日の消印があっても、先方に届いていなければ意味がありません。

また、休日や祝日は郵便局の配達が行われないため、カレンダーを確認して早めに投函しておくと安心です。

確定申告期間は2月15日~3月15日

自営業・フリーランスの人、医療費などふるさと納税の他にも控除申請が必要な人、6ヵ所以上の自治体に寄付をした人などは、確定申告が必要です。

また、ワンストップ特例制度の締切に間に合わなかった人も、確定申告で手続きができます。

-寄付金受領証明書と源泉徴収票を準備

確定申告には、「いつ、どのくらい寄付をしたのか」を証明するための「寄付金受領証明書」が必要です。多くの場合、返礼品に同封されているので大切に保管しておきましょう。

マイナンバーと身元を確認ができる書類も忘れずに準備します。提出用のコピーが必要かどうかは、申告方法によって異なります。

会社勤めで年末調整を行っている人は、対象期間の源泉徴収票も必要です。

-さまざまな方法でできる確定申告

確定申告の方法は、多様化しています。従来の税務署に出向く方法のほか、郵送する方法、インターネットを利用する方法などさまざまです。まずは、国税庁の「確定申告」ページにアクセスしてみるとよいでしょう。

ふるさと納税のメリットを再確認 どんな人が利用するとお得なのか

ふるさと納税は2008年にスタートして以来、年々利用者数が増えています。総務省のまとめによると、2020年度の利用者は550万人を超えています。

「ふるさと納税の何がお得なのか、今さら聞けない」という人のために、概要とメリットを紹介します。

実質2,000円で返礼品が手に入る

ふるさと納税は、地元や応援したい地域など、自由に選んだ自治体に寄付ができる制度です。寄付のお礼として、寄付先の自治体から「返礼品」が届きます。返礼品は地域の特産品のほか、旅館やテーマパークなどの利用券、生活用品などさまざまなものが用意されており、好みの返礼品から寄付先自治体を選ぶこともできます。

寄付をするときには寄付金額が出費となりますが、税金還付や控除で相殺されるため、実質的な負担額は2,000円で済みます。

自治体が準備している返礼品は2,000円以上の価値があるものが多いため、地域を応援しながらお得な買い物ができるというわけです。

所得税と住民税、ダブルの税金軽減効果

税金の還付や控除は、所得税と住民税で方法やタイミングが異なります。

所得税は、ふるさと納税を行った当年分から差し引かれます。すでに納めた税金のうち、払い過ぎた分が還付金として戻ってきます。

住民税は、翌年5月~翌々年6月分の税金から差し引かれます。毎年5月頃に届く「住民税決定通知書」には、減額が反映された住民税額が記載されています。税額控除額欄で、ふるさと納税が反映されているかどうかを確認しましょう。

どんな人が利用するとお得なの?

ふるさと納税そのものに制限はなく、誰でも利用できます。ただし、税金控除を受けられるのは、所得税や住民税を納める「納税者名義の寄付」に限られます。

共働きの夫婦がどちらも所得税や住民税を納めている場合は、それぞれがふるさと納税を行うことで、それぞれ税金の控除を受けられます。しかし、扶養家族名義でふるさと納税を行った場合、税の軽減効果は得られません。

寄付金上限に注意

自己負担額を2,000円に収めるためには、寄付金額を一定の金額(上限額)に収める必要があります。寄付金額に制限はないため、上限額を把握しておくことが大切です。

上限額は、利用者の「本来の納税額」によって異なります。本来の納税額は、収入額や家族構成、その他の基礎控除額によって算出されます。そのため、一概に「年収いくらなら、寄付金いくらまで」ということができません。

ふるさと納税を扱っているサイトでは、収入や家族構成などを入力して上限金額の目安をシミュレーションできます。寄付を行う前に、必ず確認しておきましょう。

ふるさと納税はいつでも可能 1年間の計画を立てておくとより効果的

会社から年末調整の知らせがくる頃に、慌ててふるさと納税を利用するという人も多いのではないでしょうか。しかし、それでは返礼品が一気に届いてしまったり、お目当ての返礼品がなくなってしまっていたりするおそれがあります。

寄付はいつでも行えます。余裕のあるときにゆっくり寄付先を選んで、納得のいくふるさと納税を行いましょう。

※上記は参考情報であり、ふるさと納税を推奨するものではありません。

(提供:Wealth Road