本記事は、天田幸宏氏の著書『個人事業主1年目の強化書』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

通信媒体,女性
(画像=PIXTA)

「メールアドレス」はGmailで十分

独立後はメールの使用頻度が激減する(はず)ここ数年で、メールの使用頻度は格段に減りました。主な理由は、仕事においてもSNSを中心としたメッセンジャーツールを使うことが増えたためです。

Slack、LINE、メッセンジャーなど、相手によって使っているツールも異なるかもしれません。

独立後のメッセージのやりとりは、「相手によって手段を決める」のがベターです。どれかひとつに特化せず、どのツールもまんべんなく使いこなせることが大事です。

ただし、利用頻度が減ったとはいえ、メールをいっさい使わずに仕事をすることは合理的ではありません。そこで次に出てくるのが、「独自ドメインを取得すべきか」という問題です。

私の答えは、こうです。「基本、Gmailで十分ですよ。独自ドメインも格安です」。

Gmailで問題なし

独自ドメインの取得コストは、この10年くらいで格段に下がりました。Gmailを運営するGoogleでは、月額680円から利用可能です。

注意したいのは、コスト面よりもドメインを変更したときの手間です。たとえば、個人事業主時代に取得したドメインを法人化したときにそのまま使うかどうかを考えてみてください。

おそらく多くの場合、新社名に紐づいたドメインが必要になるはずです。となると、独立初期に取得したドメインを手放す可能性が高くなります。それが独立初期は独自ドメインにこだわる必要がない理由でもあります。

Gmailで十分といえる理由はほかにもあります。ご存知のように、GmailはGoogleのサービスです。セキュリティ面に優れているだけでなく、もはや世界的なブランドとして認知されています。

10年くらい前までは「プロバイダに紐づいたドメインが安心で望ましい」とする風潮もありましたが、いまやGmailだからといってバカにされることもなければ、取引を断られる理由にもなりません。

大切なのは、ツール選びに悩む時間はもったいなく、自分の突き進む道を決めて行動することです。一流の起業家たちを取材して一様に共通していたメッセージは、「悩む時間がもったいない。だったら行動しようよ」でした。

「電話」は固定でなくてOK

電話番号は変わらないほうが便利仕事専用の電話番号をどうするか。ひと昔前までは、ビジネスフォンを導入して専用の電話番号を取得するのが一般的でしたが、電話の使用頻度が減った現在、電話番号への意識や環境も大きく変わりました。

結論からいうと、仕事専用の電話は「050」ではじまるIP電話がベストです。インターネットに接続して音声を届けるIP電話の最大のメリットは、ほかの地域に移転しても番号が変わらないこと。

一般の電話に比べて導入コストや維持コストが格安で済むことです。

私は独立したときからIP電話を利用し、会社設立後も本社の番号としてずっと使用しています。

その間、事務所を何度も移転してきましたが、「電話番号が変わらずに使える」ことは、携帯電話と同じでとても重要です。電話機を新たに購入する必要もなく、自分の携帯電話に転送をかけるだけ。

月々の維持コストは数百円程度です。

仕事によっては、電話をほとんど使わないという人もいるでしょう。

そういう方は無理してIP電話を導入する必要はなく、私用の携帯電話で十分です。

このように、ここでも形式にこだわるのではなく、合理性を追求することが独立人生においては大切です。

もうFAXはいらない

次はFAX(ファクス)ですが、いまや多くの仕事でFAXは不要になりました。

とくに紙でしか確認できないFAXは外出先から確認できないのが一番の難点です。リモートワーク全盛時代において、これほど不合理なものはありません。

行政や一部の金融機関などでは、現在もFAXでのやりとりを要求されることがありますが、そのときは印刷したものを郵送しています(本当です)。

それでも、年間1件あるかどうかというレベルです。そのためにFAXを導入して維持していくことは、どう考えても合理的ではありません。

一時期はインターネットFAXを契約していた時期もありましたが、毎月1,000円ほどかかる維持コストがもったいないので、数年前にFAX番号そのものを放棄してしまいました。それでも何ら問題ありませんでした。

個人事業主1年目の強化書
天田 幸宏
一般社団法人ひとり起業ファーム協会 代表理事。NPO法人インディペンデント・コントラクター協会 理事。コンセプトワークス株式会社代表取締役。1973年生まれ。
リクルート(現アントレ)発行の起業支援情報誌『アントレ』の編集者として、18年間でのべ3000人以上の個人事業主や起業家およびその予備軍を見てきた体感値から成功パターンを法則化する。
個人的にも起業支援に取り組むなかで、個人事業主や起業家の書籍出版をサポートし、これまで70人以上をプロデュースした実績を持つ。
2012年より経営コンサルタント藤屋伸二氏に師事し、ドラッカー理論をベースとした「ニッチ戦略」を学ぶ。2017年「藤屋式ニッチ戦略塾」銀座塾を開塾。経営者や個人事業主、起業家予備軍を対象に強みの発掘からペルソナ設定、ニッチ市場の特定、継続的に儲かる仕組み化を推進。
2020年には一般社団法人「ひとり起業ファーム協会」を設立。大企業早期退職者のセカンドキャリアサポートを中心に事業を推進。
著書に『ドラッカー理論で成功する「ひとり起業」の強化書』(日本実業出版社)がある。

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