本記事は、天田幸宏氏の著書『個人事業主1年目の強化書』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
必要な資格は「初年度取得」を誓う
資格取得が目的にならないように
語学や資格取得のように、目標を持って勉強することは仕事にもよい影響をもたらします。そこで、「仕事に必要な資格」について考えてみたいと思います。
まず弁護士や税理士、社会保険労務士のように国家資格がなければできない仕事が存在します。どれも難関資格ですから、資格取得のための勉強も長期戦になります。
そこで大事なのは、「独立後の自分にとって、その資格は本当に必要なのか?」をしっかりと見極めることです。
そして、タイミングとして理想的なのは、独立前の資格取得です。独立後は何が起こるかわからない不確定な要素が満載です。
当然ながら、会社員時代のように給料が毎月保証されるわけではありません。そんなときに、資格取得のための勉強にどれだけ費やすことができるでしょうか。
あらかじめ、無収入を見越して貯金を切り崩す覚悟があれば別ですが、そんな余裕がある人は少ないはずです。
取得時期が見通せる「大学院」という選択肢も
遅くとも、独立初年度で取得することを目標にしましょう。なぜなら勉強があまり長引くと、資格の取得そのものが目的になってしまう恐れがあるからです。それでは本末転倒です。
そもそも、資格は古くから「足の裏の米粒」といわれるように、取ったところで急に稼げるわけではありません。オチはこうです。「取らないと気持ち悪いが、取っても食えない」。
資格取得の悩ましいところは、TOEICのように頻繁には試験がないことです。基本的に年に一度か多くても2回程度です。したがって、一度不合格になると翌年まで待たなくてはなりません。
そこで視野に入れてほしいのが、社会人でも通える大学院です。たとえば、専門職大学院のひとつ会計大学院では、所定の科目の単位を修得して修了すると、公認会計士試験の3科目が免除される制度があり、実際に多くの社会人が利用しています。
大学院に通うことは時間も費用もかかりますが、資格取得の不確定要素を減らすという意味においては、重要な役割を果たしているといえるでしょう。
くれぐれも、いきあたりばったりではなく、戦略的に学ぶことをおすすめします。