この記事は2022年1月6日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「ワンストップ特例制度の期限 ―― 2022年も1月10日必着か?」を一部編集し、転載したものです。

ワンストップ特例制度の期限
(画像=PIXTA)

この時期、ふるさと納税仲介業者のHPにおいて「ワンストップ特例申請書の期限は1月10日(必着)」といった注意喚起が目立つ。期限を過ぎてしまった場合は確定申告する必要があるため、親切な注意喚起ではあるが、注意喚起が不十分な気もする。

2022年の1月10日は成人の日で祝日なので、速達や書留等の特殊取扱とした郵便物以外は配達されない(*1)。同じく前日の9日は日曜日なので配達されない。前々日の8日は土曜日である。昨年までなら配達されたが、郵便法の改正に伴い2021年10月2日から土曜日の配達も休止されている。つまり、1月10日(必着)とはいえ、実質的には1月7日(必着)と変わらない。

さらに、報道(*2)によると、2022年からは深夜に行っている郵便物の仕分け作業もなくす計画で、ポストに投かんした翌日に届く地域はなくなるらしい。試しに、日本郵便HPのお届け日数を調べる機能で、差出元の郵便番号とあて先の郵便番号ともに、筆者の自宅郵便番号を入力した結果、手紙・はがきは午前中に郵便局窓口に持参しても、午後に郵便局窓口に持参しても翌々日に配送されるらしい。

つまり、遅くても1月5日の17時までに郵便局窓口に持参する必要がある。送付先が遠方で離れている場合はそれでも間に合わない。ワンストップ特例制度を活用するのであれば、余裕をもって申請書を出すという、ごく当たり前のことが重要であり、このコラムを見て、慌てて申請書を送付しても間に合わない可能性が高い。そこで、仮に期限に間に合わなかった場合の注意点をお伝えしようと思う。

【注意点1】ワンストップ特例制度申請済みの寄付も含めて、すべての寄付を申告すべし
冒頭に記した通り、提出期限に間に合わなかった場合、確定申告する必要があるが、間に合わなかった寄付分だけでなく2021年中に行ったすべての寄付を確定申告する必要がある。ワンストップ特例制度を利用できるのは確定申告しない人だけなので、期限に間に合わなかった寄付だけ確定申告すると、期限に間にあったワンストップ特例申請は無効になる。期限に間に合わなかった寄付がない場合でも、医療費控除等を追加するために確定申告する場合も同様である。

【注意点2】課税所得によっては自己負担額が2,000円を上回る場合もある
課税総所得金額によっては、確定申告することで、期待していたより控除額が少なくなる(自己負担額が2,000円を上回る)(*3)。対象となるのは、累進課税制度が適用される所得税率の分岐をわずかに上回る場合である。課税総所得金額が195万円、330万円、695万円、900万円の何れかを僅かに上回る場合は注意が必要である。期限に間に合わなかった寄付が少額なら、その寄付分は思い切って諦めた方が良い可能性もある。

【注意点3】住宅ローン減税を併用している場合は、確定申告できない可能性もある
総務省の「平成28年度ふるさと納税に関する現況調査(税額控除の実績等)」の都道府県・市区町村の回答の中に、ふるさと納税ワンストップ特例制度について住民から寄せられたご意見やご要望を記入する欄がある。北海道小樽市の回答によると、住宅ローン減税を利用し、所得税額が0円の場合、確定申告を受け付けてくれないケースもあるらしい。

ワンストップ特例制度を活用するのであれば、余裕をもって申請書を出すべきだが、万が一間に合わなかった場合、上述の注意点を参考にしてほしい。


(*1) 日本郵便(2021年3月25日)「2021年度の祝日等における郵便物等の配達」
(*2) NHKニュース(2021年10月2日 14時59分)「はがきや手紙などの普通郵便 きょうから土曜日の配達取りやめ」
(*3) 研究員の眼「ふるさと納税のウソ、ホント(2) ―― 年間上限額の範囲内なら、自己負担額は必ず2,000円?」


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高岡 和佳子 (たかおか わかこ)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・ESG推進室兼任

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