この記事は2022年6月16日(木)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「神田卓也氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。
2022年6月16日(木)の午前11時すぎに外為どっとコム総合研究所の神田卓也さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。
神田卓也 株式会社外為どっとコム総合研究所取締役調査部長上席研究員。1987年福岡大学法学部卒業後、第一証券を経て、1991年メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年7月外為どっとコム総合研究所入社。 |
現在の為替相場の傾向や相場観
FOMCは2022年6月16日(木)日本時間未明、通例の利上げ幅の3倍にあたる75bp(0.75%)の超大幅利上げを発表。声明では「継続的な利上げが適切になると予想する」として「委員会はインフレを2%の目標に戻すことに強くコミットする」と表明した。
ただ、パウエルFRB議長はその後「0.75%の利上げが普通になるとは予想していない」「我々はリセッションを引き起こそうとしているわけではない」などと、いくぶんハト派的なニュアンスの会見を行った。
これを受けて米債利回りが急低下すると、ドルは出尽くし売りも相まって大幅に下落。米ドル/円は早朝に付けた24年ぶり高値の135.58円前後から2円超下げて133.49円前後まで軟化した。
もっとも、FOMCは今回の見通しアップデートで成長率予測を引き下げた一方、インフレ予測を引き上げている。その上2024年末には政策金利が現在より2%以上高い3.8%まで引き上げられるとの予測を示した。パウエルFRB議長のいくぶんハト派的な会見とは裏腹にFRBがタカ派スタンスを強めたことは明らかだろう。
現在の為替相場の戦略やスタンス
FRBの一方で日銀は2022年6月15日(水)、海外勢の債券先物売りに対して真っ向から買い向かう姿勢を強調。国債買い入れオペを連発して長期金利の上昇を抑え込む姿勢を鮮明にしている。
2022年6月16日(木)から2022年6月17日(金)にかけて行われる金融政策決定会合でも「強力な金融緩和を粘り強く続ける」方針を改めて表明する可能性が高い。これまで米ドル/円相場の上昇をリードしてきた「日米金融政策の方向性違い」というテーマは不変であろう。
FOMC後の米債利回り低下を伴ったドルの調整は早晩収束すると見ており、米ドル/円は日銀金融政策決定会合後に上昇トレンドが再開する可能性が高いと考えている。
テクニカル的には、2022年6月9日以降の下値支持である133円台前半を維持できるかがポイントとなるが、これについても維持する可能性が高いと見ている。
▽米ドル/円の月足チャート
※当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。