この記事は2022年10月20日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「米住宅着工・許可件数（22年9月）－着工件数は戸建て中心に前月から減少、市場予想も下回る」を一部編集し、転載したものです。
結果の概要：着工件数は市場予想を下回った一方、許可件数は予想を上回る。
10月19日、米国センサス局は9月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数（季節調整済、年率）は143.9万件（前月改定値：156.6万件）と157.5万件から下方修正された前月、市場予想の146.1万件（Bloomberg集計の中央値）を下回った（図表1、図表3）。
着工許可件数（季節調整済、年率）は156.4万件（前月改定値：154.2万件）と151.7万件から上方修正された前月を上回ったほか、市場予想の153.0万件も上回った（図表2、図表5）。
結果の評価：戸建て着工、許可件数が減少、7－9月期の住宅投資は大幅なマイナス成長へ
住宅着工件数の伸びは前月比▲8.1％（前月＋13.7％）と前月からマイナスに転じた（図表3）。戸建てが▲4.7％、集合住宅が▲13.2％（前月；32.1％）といずれもマイナスに転じた（図表4）。
前年同月比は▲7.7％（前月：▲0.6％）とこちらは5ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、集合住宅が＋17.6％（前月：＋31.0％）と2ヵ月連続で2桁の伸びを維持したものの、戸建てが▲18.5％（前月：▲14.5％）と5ヵ月連続でマイナスとなったほか、前月からマイナス幅が拡大して全体を押し下げた
地域別寄与度（前月比）は、西部が＋1.0％ポイント（前月：＋1.2％ポイント）と2ヵ月連続でプラスを維持した一方、北東部が▲1.3％ポイント（前月：横這い）、中西部が▲0.3％ポイント（前月：＋1.9％ポイント）、南部が▲7.5％ポイント（前月：＋10.7％ポイント）、といずれも前月からマイナスに転じた。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比＋1.4％（前月：▲8.5％）と3ヵ月ぶりにプラスに転じた（図表5）。戸建てが▲3.1％（前月：▲3.4％）と7ヵ月連続でマイナスとなったものの、集合住宅が＋7.8％（前月：▲14.7％）と前月の2桁のマイナスからプラスに転じて全体を押し上げた（図表6）。
前年同月比は▲3.2％（前月：▲13.0％）と前月からマイナス幅は縮小したものの、2ヵ月連続でマイナスとなった。集合住宅が＋23.4％（前月：▲9.7％）と前月からプラスに転じたものの、戸建てが▲17.3％（前月：▲15.2％）と7ヵ月連続のマイナスとなって全体を押し下げた。
一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で9月がそれぞれ▲38.2％（6月：▲15.8％）、▲28.7％（3月：▲23.6％）と、6月からマイナス幅が拡大した（図表7）。
このため、実質GDPにおける住宅投資は22年4－6月期の前期比年率▲17.8％から、10月27日に発表される7－9月期はマイナス幅がさらに拡大することが予想される。米国の住宅市場はこれまでの住宅価格の上昇に加え、住宅ローン金利の急騰が住宅需要を低下させる状況が続いている。
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窪谷 浩（くぼたに ひろし）
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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