この記事は2022年10月17日に青潮出版株式会社の株主手帳で公開された「プレミアグループ【7199・プライム】オートクレジットと故障保証を核にサービス拡大 ユーザー向け情報サイト開設しブランド戦略展開」を一部編集し、転載したものです。
オートクレジットを中心としたファイナンス事業や故障保証事業などを手掛けるプレミアグループが好調だ。既存事業の安定成長に加え、近年注力している自動車流通のオートモビリティサービス事業が伸長し、2022年3月期は営業収益208億2,700万円、税引前利益40億1,700万円と上場来5期連続増収増益を達成した。
次なる柱として2022年7月、エンドユーザー向け情報サイトを開設。先行投資を行い、ユーザーと加盟店をつなぐプラットフォームとしての成長を目指す。
▼柴田 洋一社長
ファイナンス以外の商品とのクロスセルによりシェア獲得
同社の事業は現在、4つのセグメントで構成されている。1つは、売上比率65%を占めるファイナンス事業だ。自動車を分割購入するためのオートクレジット(自動車ローン)を自動車販売店を通して個人客に提供している。
同社は銀行傘下ではない独立系ファイナンス会社であることを強みとし、ファイナンス以外の商品とのクロスセルによってシェアを獲得。オートクレジット市場約4.9兆円における業界3位のシェア約10%を有している。
2つめは、自動車が故障した際の修理を保証する故障保証事業であり、売上比率は21%を占める。オートクレジットと故障保証は、顧客の支払期間に応じて収益を繰延計上するストック型ビジネスのため、景気に左右されにくいのが特徴であり、コロナ禍においても右肩上がりに成長している。
3つめのオートモビリティサービス事業は、2021年3月期から本格始動し、早くも第3の柱に成長した事業だ。自動車の流通に関連するビジネスを展開。加盟店向けに引き揚げ車両の卸販売やソフトウェア販売など自動車に関する専門的なサービスを提供している。売上比率は14%を占める。
「当社はオートクレジット市場において業界3位の位置にいますが、今後は上位企業と競争してシェアを増やすのではなく、私共のファイナンスが自然に使われる環境を作っていくのがこのオートモビリティサービス事業だと考えています。この事業では車両卸売を手掛け、当社側の利益率は約10%弱と低いですが、加盟店である自動車販売店にとっては車両を安く仕入れることができます。加盟店が増えれば、当社のオートローンがより多く使われる環境ができます。ファイナンス機能を核とし、他の領域に広げていけるのは独立系の大きな強みだと考えています」(柴田洋一社長)
「クルマのことならカープレミア」 中古車の販売や買い取り情報掲載
4つめの柱として注力しているのが、新規事業の「カープレミア事業」だ。エンドユーザー向け情報サイト「クルマのことならカープレミア」を2022年7月にオープンし、エンドユーザーの集客及び会員加盟店への送客などのサービスを行っている。
同サイトは、中古車の販売や買い取り、修理などの情報を掲載。「クルマを探す」「クルマを直す」「愛車を査定する」「支払い方法を知る」などのメニューを用意し、中古車ユーザーの様々なニーズに応える体制を備えている。
「このサイトは、当社の会員制組織『カープレミアクラブ』の会員企業に限定して掲載しています。ユーザーが買いたいクルマを見つけて商談予約をクリックすると、会員加盟店とユーザーの間で商談が始まります。コロナ禍で非対面のリモート商談希望が増えていますが、通話アプリのLINEを使ったオンライン商談機能も備えていて好評です」(同氏)
「カープレミアクラブ」は、約3万社の一般加盟店ネットワークの中から有料会員を募り、会員に特化したサービスを提供している。自動車販売店向けの「カープレミアディーラー」、整備工場向けに「カープレミアガレージ」の2ブランドを展開し、会費は月額1万5,000円。今後、会員向けコンテンツを拡充し、カープレミアディーラーの会員を現在の約1,800社から3,000社に、カープレミアガレージの会員を現在の約600社から1,500社に引き上げる。
「ここ1~2年で先行投資をし、タレントを起用した広告戦略などでカープレミアの認知度を向上させます。リアル(実店舗)では新しいシンボルマークとロゴマークを使ったのぼり旗などを設置して露出を増やしていく。ユーザーと会員加盟店をつなぐプラットフォームとしての成長を目指します」(同氏)
会員加盟店の経営をサポート サイト活用した販路拡大支援
柴田社長によると、「カープレミアクラブ」は、会員加盟店の経営サポートも目指している。近年、大手中古車事業者の拡大により競争が激化。中小企業を中心とした中古車業界はIT化を始めとする課題を抱えている。同社はDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した中古車市場の活性化を目指しており、問題意識を持った中堅ディーラー会員が増えているという。
「地場の中古車販売店は、例えて言うなら商店街の八百屋さんです。新鮮で良質の商品を売っていますが、大手ショッピングモールに客を取られてしまいます。大手に勝てるだけの資金を1社1社で導入できますか、当社は出します、だからそこに乗っかってください、と声をかけています。カープレミアのサイトに登録すると全国に販路を広げることができます。メンテナンスは当社の整備工場のネットワークが行います。生き残りをかけて当社のブランドを活用していただきたいと思っています」(同氏)
▼「カープレミア」サイトトップページ
2022年3月期 連結業績
営業収益 | 208億2,700万円 | 前期比 16.8%増 |
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税引前利益 | 40億1,700万円 | 同 16.0%増 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 29億4,100万円 | 同 23.4%増 |
2023年3月期 連結業績予想
営業収益 | 245億円 | 前期比 17.6%増 |
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税引前利益 | 47億円 | 同 17.0%増 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 34億円 | 同 15.6%増 |
*株主手帳2022年11月号発売日時点