本記事は、佐藤綾子氏の著書『1秒オーラ 好意はなぜ発生するのか』(集英社)の中から一部を抜粋・編集しています
自分のオーラはどうやったら測れるのか?
さて、オーラを測定できるかという問題です。もちろん量子力学のプロたちは、さまざまな手法で光や熱を測定しています。測定しているから、原子爆弾の熱量も光も測れていたわけです。でも、読者のあなたや私が、自分の顔や体から出ているオーラをどうやったら測れるのか。それはもちろん素人にはできない相談です。
けれど、ここがパフォーマンス心理学の面白いところです。私の今の瞬間の顔や姿勢や気持ちを、目の前の相手はその人のミラーニューロンによって瞬間技で反射します。だから、こちらが世界に役立ちたいと思ったり、猛烈なミッションやパッションを持っていれば、それは自分のオーラに直結するのですが、あなたから出たオーラを相手が同時に受け取って、相手の顔も輝くわけです。
今朝、会社でパッとあなたに会った相手の顔は、瞬間技で喜びに輝くか、瞬間技で見て見ぬふりをして冷たい視線を返してくるか、それが実はあなたのオーラの測定尺度です。人が自分に対する反応を見て、あなたのオーラが測れるわけです。数値で測ることはできませんが、効果を認識することができます。
あなたがどうすればよいか、もう分かったでしょう。会社に着いたとき、いつも上機嫌で、誰かを助けてあげたいなという顔で入っていけばいいのです。相手もまた同じ顔をしてくれます。それがまた、あなたに入る。結局、オーラも行ったり来たりで相手を反射しています。
プラスオーラとマイナスオーラ
「来ないでオーラ」を出して損をしている人が周りにいませんか。
せっかく何かの交流会で会って名刺交換をしたのに、顔も見なければ声もボソボソ。「会社の命令でパーティーに来たので名刺は出したけれど、まあ、義務で出している」という認識です。これは、「名刺は出しましたが、私を覚えないでください」と言っているのと同じです。もっとひどければ名刺も出さないでしょう。会議でも、「私はここにいなさいと言われたから、やむなく出席しているけど、当てられたら困るから存在の雰囲気を消して、まったく違うことを考えて下を向いている」。こういう姿勢や顔つきはほんの一瞬でも、「来ないでオーラ」を発信しています。当然、相手はその人に近づきたくない。つまり人間関係作りでは損をする人です。
「かまってオーラ」を出す人もいます。
みんなでいろんな話をしているところへ、「あの、私もね」と言って割り込んでくる。「その話、私も経験がある」とたった1秒の台詞でも、自分に注目してほしいというオーラが出ています。目線で言えば、下から斜めに相手の目を見上げるような仰ぎ目がまさに「かまってオーラ」です。
小さい子どもがお母さんに甘えるときもこの視線をしますが、立派な大人になって仰ぎ目で人を見て、かまってほしいというメッセージを出せば、結局は貧乏くじを引きます。なぜならば、あなたをかまってあげようと思う人が声をかけてくるからです。「うまく利用して一番大変な仕事を押しつけても彼女だったら大丈夫」「彼だったら寂しくてしょうがないのだから、声をかけてあげるだけで上出来だ」というふうに、結局のところ、主体性のない迎合型の性格としてそれなりの扱いしか受けないのです。
だったら、どうしたらいいのでしょう。あなたは自分の欲しいこと、望んでいることを常に言葉に出したり、紙に書いたり、行動に出したりして、宣言していればいいのです。これがパフォーマンス心理学でいう「アナウンス効果」です。
ヤベツという男性が聖書の中に出てきます。ヤベツは神に「自分の領土を広げてください。私をつらいことに遭わさないで、よいことだけが起きるようにしてください」。こんな調子です。なんとまあ、望みだけを言うもんだと思うでしょう。けれど、聖書には、このヤベツの祈り話の、最後の行に「神はその通りなさった」と書いてあるのです。
自分がしたいこと、わがままではなくて人間としてやるべきこと、努力をして、さらにその延長線でやりたいことについては、どんどん宣言していったらいいのです。ポジティブな喜び、感謝、お願い、ビジョンは、ポジティブなエネルギー。
一方で、来ないでオーラ、かまってオーラ、従えオーラ、怒りオーラなどは、ネガティブなオーラです。マイナスオーラを発すると、受けた相手をネガティブな気分にさせ、まわりがマイナスオーラだらけとなり、結果的に自分も損をします。
マイナスオーラを避けるには
もしもあなたがあまりマイナスオーラを出す人とおつきあいしたくないと思ったら、その人のそばに行って、やたらに同調動作を起こしたり、同調の言葉を口から出さないのをおすすめします。
私も会合などの帰り、そういう人と一緒になりそうになったら、速足にしたり、駅までの道を変えたりして、なるべく逃げるようにします。近づかないのが一番です。
口を開けば上司や家族の悪口を言う人がいますよね。その人の顔からは眉尻を下げ、眉間にしわを寄せ、口をへの字にして、もういやになっちゃう、と言いたげなのが見て取れます。
ミラーニューロンの働きで反射して、あなたも「ほんとにいやよね」などと発信しがちで、表情まで似た顔になりがちです。これだと、自分までマイナスオーラを出したことになってしまいます。マイナス同士はくっくきやすい、快適だからです。
あなたが相手に同調しなければいいのです。
「いやよね」「大変よね」にはむしろにっこりして「あ、そうなんですか」とだけ言えばいいのです。聞いたというサインで、そうだとは言っていないので、同調したことにはなりません。繰り返しただけ。
同調が返ってこないので、相手はすっかりやる気をなくして、この人はこういう話が嫌いなのだな、と次からあなたの前でそういう話をしなくなります。
もし、それでも相手が話し続けて長くなりそうなら、
「いやー、今自分も手いっぱいで助けてもらいたいくらいだよ」
と返すといいでしょう。
「遮りの研究」という、アメリカのベックマンとフランケルによる論文があり、この中に、「医師が患者から情報収集する際、患者の発言を遮らなくても150秒を超えなかった」
というデータが出ています。
日本ペインクリニック学会での講演で私がこの話をしたら「それはアメリカだからだろう、日本では2分半じゃ止まらない」と笑いが。医師たちも患者とのコミュニケーションには苦労しているようです。
女子会や飲み会などで、欠席した人や先に帰った人について、「あの人って〇〇だよね」と陰口や噂話で盛り上がった経験はありませんか? そんなときは、
「いるときに言ってあげたほうが、本人の役に立つんじゃないかな~アハハ!」
とかわすのをおすすめします。真面目に言いすぎると場の空気を変えてしまうので、冗談っぽく軽く言うのがコツです。
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