ただ、この話も冷静に受け止めたほうがいいとも思います。この2,000万円という不足金額はあくまで平均値から算出されたものであって、不足額はおのおのの収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なりますし、当然不足しない場合もあり得ます。また、2020年の家計調査をもとに同じ計算をしてみると、30年間で55万円しか不足しないという結果になります。2,000万円とあまりにかけ離れた数字で驚くかもしれません。2020年はコロナ禍の影響で給付金を得た世帯が多く、一方で旅費や食費など支出を減らした世帯が多かったという特殊要因があるので、どの時点のデータを使うかによって、結論はいくらでも変わってきてしまうのです。
とはいえ、人生100年時代が訪れるのは間違いなく、その場合においてはいままでより多くのお金が必要となることには変わりなく、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくると考えること自体は間違いではないでしょう。
活用すべき非課税制度の「つみたてNISA」、「iDeCo」
たしかに老後に備えないといけない、と思った方にオススメしたいのは、国が用意してくれている非課税制度です。原則として、株式や投資信託に投資して得た利益や配当金・分配金には、20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金が課されます。つまり、投資で100万円の利益が出たとしても、手元には80万円弱しか入らないということです。損をした場合は損失の一部を補てんしてくれるわけではないのに、トクをしたときだけ一部が税金として持っていかれてしまうのは、なんだか不公平な感じがしますよね。しかし、非課税制度を活用すれば、合法的に税金を払わずに儲けを丸々手にすることができるのです。
最初に紹介するのは「つみたてNISA」です。これは、2018年1月からスタートした非課税制度です。従来からあるNISA(Nippon Individual Savings Account, 小額投資非課税制度)と同じく、投資で得られた利益や配当金・分配金が非課税の対象となります。