つみたてNISAがいつでも換金できるのに対して、iDeCoはあくまで年金のため、原則60歳までは引き出せません。60歳以降に給付請求を行うことで、積み立てた金額を「老齢給付金」として受け取ることができます。ただ、60歳時点で加入者期間が10年に満たない場合は、支給開始年齢が引き延ばされます。受取方法は、「老齢年金方式」、つまり分割で5年以上20年以下の期間で受け取るか、「老齢一時金」として一括で受け取るかを選択できるほか、年金と一時金を組み合わせて受け取ることも可能です。また、転職などで勤務先が変わっても、積み立てたものはそのまま移転できますので、その点は心配無用です。

iDeCoの最大のメリットは、大きな税制優遇が受けられることです。まず、掛金全額が所得控除になります。運用益も非課税になります。受け取り時にも控除があります。一時金で受給する場合、「退職所得控除」が適用されます。年金で受け取る場合には、「公的年金等控除」が適用されます。こうした控除もあり、つみたてNISA以上に税制優遇が大きい制度です。ただ、デメリットは前述したように60歳になるまでは引き出せないこと。そして、運用する金融機関に口座管理手数料を支払わなければならないこと。また年収103万円以下の専業主婦(主夫)の場合、もともと所得税非課税の範囲なので、iDeCoの所得控除がメリットにはならないことなどが挙げられます。

大値上がり時代のスゴイお金戦略
森永康平(もりなが・こうへい)
経済アナリスト。証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。その後、2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、AIベンチャーのCFOも兼任するなど、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員。YouTube番組「森永康平のビズアップチャンネル」を運営。

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