リスキリングを社内に導入するステップ

自社にリスキリングを導入するためには、以下のようなステップで進める必要がある。

  1. 事業戦略に基づいて必要な人材を明確にする
  2. 人材戦略を練った上でリスキリングの教育プログラムを決める
  3. 社員に学習に取り組んでもらう
  4. リスキリングでの学びの実践状況をフォローする
  5. 継続的にリスキリングを行う

それぞれの進め方について解説する。

1.事業戦略に基づいて必要な人材を明確にする

まずは、自社の経営状況について分析して事業戦略を策定し、必要な人材を明確にしなければならない。リスキリングの大きな目的は、DX推進などの経営革新によって収益の改善や向上を目指し、プロジェクトを推進する人材を育成することである。

たとえば、これまで対面販売のみだった小売業が、Eコマースツールを導入してDXを図るならば、システムの導入はもちろんデータ分析やシステムデザインができる人材の育成が望ましいだろう。

リスキリングによって社員に修得させるべきスキルは、企業の現状や事業戦略によって異なる。自社を取り巻く環境なども考慮した上で、リスキリングによって達成する事業の目標値を設定することが重要だ。

2.人材戦略を練った上でリスキリングの教育プログラムを決める

事業戦略に沿って今後自社にとって必要な人材が明確になったならば、自社人材が取得しているスキルの現状を把握しなければならない。

社員によって、すでに修得しているスキルはもちろん業務適性も異なる。そのため、育成プランはもちろん人材配置も含めた人材戦略を練った上で、リスキリングの対象となる社員や導入する教育プログラムを決めなければならない。

リスキリングの教育プログラムには、社内外の研修やe-ラーニングなどさまざまなものがある。自社のリソースだけで対応が難しい場合は、外部の専門家に依頼するのはもちろん、MicrosoftやSalesforceのようなプラットフォーマーが提供しているリスキリング講座の活用も検討しよう。

3.社員に学習に取り組んでもらう

リスキリングの教育プログラムを決めて修得すべきスキルが決まったら、実際にリスキリングの対象者に学習に取り組んでもらう。

リスキリングはアップスキリングと違ってこれまでと違う新しいことを業務外で学ぶため、社員の動機付けが不可欠である。教育プログラムに取り組んでもらう前に、対象者に対してリスキリングの目的や進め方、スキル習得後に期待することなどの説明を忘れてはならない。

4.リスキリングでの学びの実践状況をフォローする

教育プログラムが終了して知識を習得したとしても、すぐに現場で実践できるとは限らない。また、せっかく新しいスキルを学んでも実践する機会がなければ、リスキリングを行った意味がない。学習終了後の現場での実践状況を定期的な面談でフォローするのはもちろん、必要に応じて配置転換するなどして実践の場を提供することも重要である。

5.継続的にリスキリングを行う

リスキリングを一度行ったからといって、自社が必要とするスキル人材が育つとは限らない。リスキリングを行った社員から教育プログラムに対する感想や意見などを集め、次のリスキリング計画にフィードバックすることが重要だ。

リスキリングを繰り返し行うことで、人材の育成効率を向上させ、新たに必要なスキルを選定するなどして、活動をさらにブラッシュアップさせていく必要がある。