リスキリングの企業実践事例

リスキリングに取り組んでグローバル競争力の強化に取り組んでいる上場企業の事例を7社紹介する。

三井住友フィナンシャルグループ

三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は、全従業員を対象にデジタル変革プログラム「デジタルユニバーシティ」を展開している。

従業員のデジタルスキル向上を目的としており、特にデジタル技術の重要性と応用方法に焦点を当てている。従業員はオンラインで提供される多様な学習コンテンツを通じ、自主的にデジタル技術を学んで実践に結びつけることができる。また、社内SNSを活用して意見交換や新規ビジネスのアイデア創出も推進している。

キリンホールディングス

キリンホールディングスは、社員のITリテラシー向上とデジタルスキル習得を目指して「キリンDX道場」を開設した。ITの基礎知識から高度なデジタル技術までを幅広くカバーし、実践的なスキルを習得するためのトレーニングが行われている。社員は道場の利用を通じ、日常業務にデジタル技術を取り入れ、効率化や新しい価値創造に寄与できる能力を身につけている。

ダイキン工業

ダイキン工業は、大阪大学と共同で企業内大学を設立してデジタル技術に特化した教育プログラムを提供し、企業全体のデジタル変革を加速させている。このプログラムでは、最新の技術動向や実践的なスキルを学ぶ機会が提供され、社員が継続的にスキルアップできる環境が整備されている。

富士通

富士通は「Global Strategic Partner Academy」を設立し、従業員がAIやクラウドコンピューティングなどの最新技術を学べる環境を提供している。このアカデミーでは、理論と実践を組み合わせたカリキュラムを通じて、デジタルスキルを体系的に習得できるようになっている。富士通は、これらの取り組みを通じて全社的にデジタル化を推進し、グローバルレベルでの競争力を高めている。

日立製作所

日立製作所は「日立アカデミー」を展開し、従業員が新しい技術やビジネススキルを学べる環境を整えている。このプログラムでは、従業員がDXに必要なスキルを習得し、革新的なアイデアを実現できるように支援しており、グローバル市場での競争力強化に取り組んでいる。

ソニー

ソニーはクリエイティブ職や技術職向けに「AIリテラシー研修」を実施し、デジタル時代に必要なAI活用スキルの獲得を促進している。このプログラムでは、社員が最新のデジタル技術やツールの具体的な活用法について学べる動画教材を提供し、AIを活用して革新的な製品やサービスを生み出せるようにトレーニングが行われた。

東芝

東芝は、社員のリスキリングを推進するためにオンライン学習プラットフォームの「Udemy Business」を活用している。社員は約1万2,000講座から学びたいプログラムを選択し、Excelやプログラミング、TOEIC対策など多岐にわたるスキルを自分のペースで学習可能だ。通勤時間などの隙間時間を有効活用でき、業務外でも手軽にスキルアップが図れている。

旭化成株式会社

旭化成株式会社は、従業員のリスキリングを促進するために「CLAP(Co-Learning Adventure Place)」という学びのプラットフォームを2022年12月から導入した。

このシステムは、経営知識、語学、プログラミング、マーケティングなど、約1万1,500の教育コンテンツを提供し、従業員が自律的に成長し続ける「終身成長」を支援する。CLAPは、個々の関心やニーズに合わせた学習を可能にし、マネジメント層も組織全体での共同学習に活用できる。今後も社内コンテンツの整備やデジタルバッジ制度の拡充などを計画している。

サッポロホールディングス株式会社

サッポロホールディングス株式会社は、「全社員のDX人材化」を目指し、2023年もDX・IT人財育成プログラムをスタートさせた。このプログラムは「全社員ステップ」「サポーターステップ」「リーダーステップ」の3段階で構成され、受講対象者を1.5倍に拡大し約6,000名としている。

特に、DX・IT基幹人材200名の育成を目指して「トレノケート」や「キカガク」などの教育プログラムを導入し、社員は実際にデータ分析やアプリ構築などを習得し、現場でのDX推進を効率化する。

住友生命保険相互会社

住友生命保険相互会社は、従業員の自律的な学びとキャリア開発を支援する取り組みを進めている。2022年に導入された「リスキル・マイキャリア運営」では、職員が自身のキャリア目標と行動計画を可視化し、自らの成長を把握できるよう支援している。

また、自己啓発費用の補助や、幅広いテーマのセミナー「ゆう活講座」、e-ラーニングなどの学習環境を提供し、職員のスキルアップを促進している。