本記事は、横山光昭氏の著書『18歳からの投資信託の教科書』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

「投資=ギャンブル」というのは大きな誤解

クエスチョン,疑問
(画像=vegefox.com/stock.adobe.com)

投資信託とは一体どんなものなのかをお話ししていきます。

私は家計再生コンサルタントとして活動しており、日々お金の悩みを持った人たちの相談に乗っています。具体的には、家計管理の仕方や資産を効率的に増やすための方法などを提案しています。

その中で、投資信託の活用をすすめることもしょっちゅうです。投資未経験の人へ投資信託をおすすめしたときによく言われるフレーズが、

「興味はあるけど、やっぱり怖いです」
「難しそうだし、私なんかに投資は無理です」
「安定しているものならいいですけど、損をするのは不安です」

といったもの。読者の皆さんの実感もこれに近いかもしれませんね。

よくわからないものに大事なお金を使うのは怖い、というのは正常な反応です。

むしろ、儲かる可能性に賭けてよくわからないものに大金をつぎ込んでしまうのはギャンブラー気質なので、そっちのほうが何かと心配です。

ここからは、そんなよくわからない投資信託というものを、もっとよく知る努力をしてみましょう。

その第1段階として、話はちょっと投資信託からは逸れますが、多くの人が同一視している「投資」と「投機」、「ギャンブル」の違いを、まずははっきりさせておきたいと思います。

最初に「投資」とは、簡単に言うと、将来的に値上がりしそうな金融商品にお金を投じ、〝長期的な視野で利益の獲得を目指す〟行為です。短期で利益をねらうものではなく、私が皆さんにおすすめしたいのが、この投資です。

次に「投機」とは、値動きの激しい金融商品にお金を投じ、〝機に乗じて短期間で利益を得ようと試みる〟ことを指します。

最後に「ギャンブル」とは、競馬やパチンコ、あるいは宝くじなどのような、お金を賭ける勝負事のことです。利益を得る可能性より、やり続けると損をする可能性のほうが圧倒的に高くなるのが、ギャンブルの特徴です。

よく「投資はギャンブルと一緒だ」と思っている人がいますが、私がすすめる投資は長期的な視点で行うもの。その場その場で勝ち負けが決まり、勝敗の行方の大部分が運に左右されるギャンブルとは、性質が異なっています。

18歳からの投資信託の教科書
(画像=18歳からの投資信託の教科書)

少しわかりにくいのは、投資と投機の違いでしょうか。どちらも金融商品を活用して利益を獲得することを目指していますが、長期でやるか短期でやるか、というスタンスの部分に差があります。

たとえば、株は投資の対象にも投機の対象にもなる金融商品です。

株を使った投機とは、ものすごく値動きが活発な株(株の中にも、値動きが激しいものと、そうでもないものがあります)を狙い、短期間のうちに買ったり売ったりを繰り返す「デイトレード」や「スキャルピング」などをすることです。

買った株を少し上がったところで売るという一連の流れを、株式市場(*1)が開いている一日のうちに完結するのがデイトレード。買った株を数秒~数分で売り、取引を繰り返して小さな利益を積み重ねていくのがスキャルピングです。

*1:日本の株式市場は、東京証券取引所(東証)の場合だと平日の午前9時に開き、昼休みを挟んで午後3時に閉じます。名古屋・札幌・福岡証券取引所の場合は、平日の午前9時に開き、昼休みを挟んで午後3時30分に閉じます

デイトレードやスキャルピングは、原則的に小さな利益を積み重ねるため、スピーディーに儲けたいと思ったら、ある程度大きな金額を投じることになります。

たとえば、1,000円の株を1株買って10円上がったところで売ったら、10円しか儲かりません。ですが、同じ株を1,000株、100万円出して買っていたなら、10円値上がりしただけで1万円儲かります。

1株1,000円くらいの株だと、10円や20円くらいの値動きは1分1秒単位で発生するので、大きなお金を投じれば、短期間で大きく儲けることもできます。

しかし、読みが外れて値下がりしてしまうと、同じくらい大きな損失を一瞬にして食らってしまうリスクがつきまといます。

株のほか、外国為替かわせ証拠金取引(FX)や仮想通貨(暗号資産)なども、短期での値動きが活発なので、投機の対象となることが多い金融商品です。ただ、株もFXも仮想通貨も、短期的な利益を追求せず、長期で保有することもできるので、これらの取引をすること=投機というわけではありません。

世の中には投機の達人がいて、彼らは短期間のうちに何億円も儲けています。

雑誌やネット記事などでもよくこういった人が取り上げられています。

私も、株のデイトレードで大成功し、いわゆる「おくびと(億単位の資産を築いた人)」になった人たちに話を聞いたことがあります。わずかな元手を短い時間で1億円以上にしたという独自の手法を聞いたときには、すごいテクニックだな、と正直感心しました。

ですが、それをマネするのは至難の業。その領域にたどり着くためには、株価チャートなどを研究する熱心さ、大きな勝負ができる大胆さ、損をしてもへこたれないメンタルの強靭きょうじんさなど、求められる要素がたくさんあります。

私は投機とギャンブルはおすすめしませんが、投資に慣れてきたところで、ほんの少額を使ってやってみる、というくらいであれば問題ないと思います。

ただ、投機やギャンブルでの資産形成を考えるのは ―― たとえば、1年後に子どもの進学費用として100万円必要だけど、蓄えが全然ないからデイトレードで何とかしよう、などと考えるのは ―― けたほうがいいでしょう。

「元本ゼロどころかマイナス」とはどんな状況?

投資未経験の人と話をしていると、たまに「投資って、元手がゼロになるどころか、マイナスになることもあるんですよね?」と言われることもあります。

繰り返しになりますが、投資は長期的に値上がりが見込める金融商品にお金を投じることです。ただ、有望だと思って買ったとしても、元本保証ではない金融商品ならば値下がりするときもあります。

株の場合だと、発行元の会社が倒産したら株にも価値がなくなるので、投じたお金の大部分を失う可能性があります。

=18歳からの投資信託の教科書
横山光昭
家計再生コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー
株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの家計再生件数は2万1,000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。

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