安定的なリターンを生む外国債券活用戦略
ここからは、上記の富裕層ポートフォリオでの主力資産となっている外国債券の活用戦略についてもう少し踏み込んで説明していこう。前提として、現在は金利上昇局面だ。足元では長期金利が若干低下しているものの、少なくとも「2022年は金利上昇の1年だった」と言って大きな間違いはないだろう。
そのような金利上昇局面における議論ポイントは以下の3つだ。
(1) キャピタルゲインを重視するか?
(2) インカムゲインを重視するか?
(3) 両方のバランスを重視するか?
それぞれ説明していこう。
(1)キャピタルゲインを重視する場合
キャピタルゲインを重視するということは、債券の償還差益を狙う、もしくは単価上昇時の途中売却を狙うということだ。
この場合、
・クーポン利率が低い銘柄を買う(ロークーポン戦略)
・残存期間の長い銘柄を買う
がセオリーとなる。なぜなら、このような銘柄は金利変動に対するリスクが大きくなるため、今後金利が低下していけば、債券単価の上昇が見込めるためだ。
(2)インカムゲインを重視する場合
インカムゲインを重視するということは、定期的なクーポン収入を重視するということだ。クーポン収入を重視すると、保有中のインカムゲイン実額が大きいので、運用の実感が得られ、リターンの回収が早い。手にしたインカムゲインを次の収益機会に振り向けることも可能だ。この場合は、
・クーポン利率が高い銘柄を買う(ハイクーポン戦略)
・残存期間の短い銘柄を買う
がセオリーとなる。なぜなら、このような銘柄は金利変動に対するリスクが小さくなるため、今後金利が低下していっても、相対的に債券単価の変動を抑えられるためだ。
(3)両方のバランスを重視する場合
キャピタルゲインとインカムゲインの両方のバランスを重視する場合は、以下の2つの戦略が選択肢となる。
バーベル型戦略:残存期間が長い銘柄と短い銘柄をバランスよく保有し、今後の不透明性に備える。いずれにせよ、金利低下局面になればプラスに働く
ラダー型戦略:はしごのように、できる限り等間隔で償還が来るように複数の銘柄を持つ。ポートフォリオ全体としての利回りや残存期間の平均を取る、ポートフォリオを重視した戦略と言える
特にラダー型戦略は、ポートフォリオ全体のリスクを低下させることができるので、年金基金などの機関投資家が好んで使うという。