本記事は、マイク氏の著書『9割の会社員が知らない お金が勝手に働く投資術』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
個人と法人の二刀流が最強の節税術
2018年に渡米し、アメリカでも前代未聞の日本人二刀流選手として名を轟(とどろ)かせている大谷翔平選手ですが、実は投資の世界でも二刀流が最新のトレンドです。個人と法人の二刀流で納税額を最小にすることができるのです。
高所得サラリーマンは相当額の税金を支払っています。「少しでも税金が戻ってきてほしい」と、会社から通知される給与明細をみては怒りを抑えているはずです。会社の給与から少しでも多くの税金を取り返すためにも、ワンルームマンション投資は「個人」名義で行います。
不動産から得た収益(不動産所得)は、赤字分をほかの所得から差し引く「損益通算」が認められています。個人の給与所得を減らすことができる損益通算方法は限られているため、活用しない手はありません。
具体的には、赤字分を差し引いた金額が所得税や住民税の課税対象となるため、納税額の軽減ができます。毎月の給与から所得税が天引きされているサラリーマンは、不動産所得の赤字分を確定申告することで、納めすぎた税金が還ってきます。そして、翌年の住民税は減額となります。
不動産所得とは、年間の家賃収入から必要経費を引いた金額です。必要経費には、管理費や修繕積立金(建物の診断や修繕工事を行うために充てられる費用)、火災保険などの保険料、固定資産税、ローンの金利分などが含まれます。また、建物の取得費用を分割し、減価償却費として経費に計上できます。減価償却費とは、不動産を取得した際に取得費用(購入金額)を一定年数に分け、毎年の経費として計上するために用いられる計算方法のことです。
特にワンルームマンションは、土地の保有割合が一棟アパートに比べると圧倒的に少ないため、実際には赤字ではなくても帳簿上赤字にすることが可能です。ワンルームマンションは建物部分の減価償却費用が大きいため、キャッシュフロー自体は黒字であっても、損益計算書では赤字になっている状態も可能となります。
一棟アパートは「法人」で保有することをおすすめします。税率の関係から、課税所得400万円未満であれば法人化のメリットは少ないのですが、それ以上を狙うのであれば最初から法人での購入にすべきです。
昨今は個人では増税傾向ですが、法人は減税傾向です。[図表17]のように2007年以降、個人の所得税は増税傾向が続いています。2022年時点での所得税率は最高45%となっています。それでも1974年の最高税率75%に比べると少なくはなっていますが、その水準に移行してきたら個人ではさらに対策が必要になります。一方、法人税については23%と年々減少傾向となっています。
土地を保有する一棟アパート投資は経費割合がワンルームマンション投資と比べるとどうしても低くなります。そしてキャッシュフローも大きくなるため、個人で保有すると損益通算により黒字になるため、税金がより多くなってしまいます。税率が低い法人で保有したほうが、一棟アパート投資では手残りを多く残せるのです。[図表17・18]のような流れから今後はより個人が厳しくなることが予想されます。
ほかにも法人で契約、購入をするとメリットがあるものを一部解説します。
生命保険
個人だと控除が4〜5万円だが、掛け捨て型であれば全額を損金(経費)として扱えるため、それ以上の節税が可能自宅をオフィスに
自宅の家賃やリフォーム代の一部を経費にできる携帯やWiーFiなどの通信機器(法人利用部分)
法人契約にすることで経費にできる
では、株式投資や投資信託は「法人」「個人」のどちらで行うのが良いのでしょうか?
私は税率から「個人」をおすすめします。
利益が出ていないときは[図表19]のように法人にメリットがあるのですが、利益が出ないことを前提に株式投資や投資信託を行う人はいないですよね。
とすると、税率に約10%もの差があることは大きな問題です。
個人の所得はワンルームマンション投資の赤字部分と給与を損益通算することから節税し、一棟アパート投資の収益は法人によって税率を下げることができます。株式投資や投資信託は税率の低い個人で行いましょう。
この「個人」と「法人」の二刀流が「最大の利益」と「最大の節税効果」をもたらすのです。