本記事は、小林義崇氏の著書『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。

富裕層は年金もしっかりもらう

年金
(画像=茂輝 田代/stock.adobe.com)

お金持ちでも年金は頼りになる

富裕層の資産をより強固にしているのが、意外にも「公的年金」です。

公的年金は老後の生活の強い支えですが、これは富裕層においても例外ではありません。

仕事や投資から得る収入に加えて年金ももらえれば、質素倹約に努める富裕層なら確実にお金が残ります。

そのため、普通は老後になると資産は目減りしていくものですが、富裕層はむしろお金が増えていくというわけです。

現状のルールでは、富裕層でもきちんと年金はもらえます。受けとれる公的年金は、現役時代の働き方や収入額によって変わりますが、1か月あたりの受取額は会社員などの厚生年金加入者で平均15万円ほど、個人事業主などの場合は約6万円が目安です。

富裕層の場合、現役時代に高い収入を得ていた人が多く、その分、厚生年金の受給額が高くなります。

現状のルールでは月給65万円、賞与150万円で厚生年金の最高額をもらえるのですが、会社経営者などの多くがこの水準に達しているでしょう。

この公的年金は、税金の面で優遇されています。受けとった公的年金は「公的年金等控除」を差し引いたうえで課税されるので、税負担が抑えられているのです。

たとえば65歳以上の人が年間200万円の公的年金を受けとった場合でも、課税対象となるのは90万円にとどまります。

しかも、年金収入が年間400万円以下の場合、「確定申告不要制度」を使うことができ、所得税の負担をさらに抑えることが可能です。

さらに、公的年金の受給資格をもつ人が亡くなった場合などは、「遺族年金」が支払われ、家族の生活の支えになってくれます。これについては税金が一切かかりません。

遺族年金は被相続人の死亡後に支給されるので、相続税の対象になると勘違いする人がいますが、そうした心配は不要です。

ときどき、「年金をもらえないかもしれないから保険料を払いたくない」という人がいますが、取材などを通じて年金制度のしくみを学んだ限りにおいても、現在の年金制度が崩壊することは、まず考えられません。

年金支給開始年齢が65歳だったものが70歳に後ろ倒しになったり、年金が減額したりする可能性は大いにあるものの、やはり年金は心強い老後の生活の支えになってくれるでしょう。

前述のとおり、大きな資産を築いたとしても、収入が一切入ってこず、今ある資産を切り崩していくしかない状況は不安なものです。

たしかに年金保険料を納めるのは負担感が強いのですが、老後も精神的に安心して生活できるよう、年金保険料はきちんと納めておくべきです。

元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者
小林義崇
1981年福岡県生まれ。西南学院大学商学部卒業。2004年東京国税局の国税専門官として採用され、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2年連続で東京国税局長より功績者表彰を受ける。2017年7月東京国税局を退局し、フリーライターに転身。マネージャンルを中心に書籍や雑誌、ウェブメディアにて執筆。朝日新聞社運営のサイト『相続会議』をはじめ、連載記事多数。2021年9月に一般社団法人かぶきライフサポートの理事に就任し、相続に関する問題の解決をサポートする活動を行っている。

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