本記事は、土井健氏の著書『テレビCMの逆襲 運用型CMで売上50億を2年で実現したテレシーCEOの実践広告論』(宣伝会議)の中から一部を抜粋・編集しています。

地上波テレビの1.7兆円市場を狙え!

テレビCMの逆襲 運用型CMで売上50億を2年で実現したテレシーCEOの実践広告論
(画像=Svitlana/stock.adobe.com)

私がテレシー事業に携わったタイミングでは「テレビはオワコン」などといわれていました。数値からはそう見えるかもしれません。電通が毎年発表している「日本の広告費」を見ると、ネット広告費は毎年二桁成長を続け、テレビを含むマスコミ4媒体の広告費は下降線をたどっていることがわかります。ネット広告費が地上波と衛星メディアを含む「テレビメディア」を抜いたのが2019年、そのわずか2年後の2021年には新聞、雑誌、ラジオを含む「マスコミ四媒体広告費」を上回ったことが大きな話題になりました。

テレビの視聴者数、視聴時間の減少に反して、増えてきたのがインターネット利用者数、利用時間です。テレビよりもネットから得られる情報やコンテンツに価値を感じる人が増えた影響は、広告業界でも顕著に表れていたのです。

しかし、テレビは本当に「オワコン」なのでしょうか?

2021年の日本における総広告費は約6兆8,000億円。そのうちの地上波テレビは1兆7,000億円でした。テレビCMの市場シェア1%をテレシーが取ると170億円、2%なら340億円にものぼります。

この数字だけを見ても、テレビCM領域には十分魅力があると感じています。

しかも、今のところ日本のテレビメディアの世界にはGAFAがいません。ネット広告市場に身を置いていた人間としては、これはかなり大きなことです。前述したとおり、ネット広告の世界はGAFAという巨大なプラットフォーマーが君臨しています。彼らは世界中から集めた優秀なエンジニアによって生み出された最新のアドテクを用いることで、世界中のどんな国でもプラットフォーマーとして均質のサービスを提供することができます。そんな世界において、第三者のプレイヤーが戦えるマーケットは限られています。

それはもはやネット広告に限ったことではありません。農業などの一次産業を含むあらゆる産業に巨大プラットフォーマーが入り込んでいて、もはやGAFAがいない場所などほとんどないのではないかと個人的には思います。

その点、日本の地上波テレビの領域にはGAFAが入り込めていません。そのためテレビ広告市場であれば、GAFAが行う突然のシステム変更によってビジネスが翻弄されるようなこともなく、1.7兆円という市場の中で思う存分に暴れられると考えました。

運用型テレビCMは、それまでのテレビメディアの弱点であった効果の可視化という課題を克服し、ネット広告同様にわかりやすい効果指標を導入しています。その結果、これまでテレビCMを出稿することに迷いがあった多くの広告主をテレビCMの領域に連れてこられるということが、テレシーの事業を始めてみて明らかになりました。運用型テレビCMは、テレビCMに革命を起こすだけにとどまらず、広告業界全体に影響を及ぼすゲームチェンジャーになり得る可能性を秘めているということを、私たちテレシーの事例から知ってもらえればと思います。

地上波テレビの1・7兆円市場を狙え!
(画像=テレビCMの逆襲 運用型CMで売上50億を2年で実現したテレシーCEOの実践広告論)
テレビCMの逆襲 運用型CMで売上50億を2年で実現したテレシーCEOの実践広告論
土井健(どい・けん)
同志社大学卒業後、サイバードへ入社。モバイル広告代理店事業立ち上げに従事。2011年にECナビ(現CARTA HOLDINGS)に入社。グループ会社であるfluctに出向し、スマートフォンSSP「fluct」の立ち上げに参画。年間売上高20億から114億の日本最大級のSSPに育て上げ、東証一部(当時)上場に貢献。2016年fluct代表取締役を経て、2020年VOYAGE GROUP(現CARTA HOLDINGS)取締役に就任しテレシーの立ち上げに参画。2021年、テレシー代表取締役CEO(現職)。運用型テレビCM事業の成長を主導するとともに、タクシー広告、アドトラック、世界初のヘリコプター広告などのメディアにも注力する。

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