本記事は、内藤誼人氏の著書『10秒で人を操る心理術』(PHP研究所)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=fidaolga/stock.adobe.com)

【心理術】
相手を真似ることの驚きの効果

思うように話せない。考えをうまく伝えられない。口ベタで話が続かない。何かいい方法はないものか。

コミュニケーションでそんな悩みを抱えている人は多いでしょう。しかし、なにも話すことだけがコミュニケーションではありません。

そう。あなたのしぐさ、その一挙手一投足が、すでにコミュニケーションなのです。「ボディランゲージ」という言葉があるように、じつは「言葉」よりも身体的な「しぐさ」のほうが、相手にはアピール力があります。

10秒で人を操る心理術
(画像=10秒で人を操る心理術)

カリフォルニア大学の心理学者アルバート・メラビアン博士の有名な「メラビアンの法則」によれば、人が初対面の人とコミュニケーションをおこなう際に影響されるのは、表情、態度、ジェスチャーなどのボディランゲージが55%、声の調子が38%、言葉そのものはわずか7%にすぎないといいます。

相手に気持ちよくしゃべらせる

そこで、相手のしぐさを真似るだけの「ミラーリング」というテクニックを紹介しましょう。

会話とはキャッチボールなのだから、べつに自分が素晴らしい球を投げられなくてもかまいません。相手にいい球を投げさせること、つまり、相手に気持ちよくしゃべらせることができれば、十分に会話の達人になれるのです。

このとき有効なのが「ミラーリング」です。たとえば、相手が足を組んだらこちらも足を組む。相手が身を乗り出したら、こちらも身を乗り出す。相手がコーヒーに手を伸ばしたら、こちらもコーヒーを飲む。まさに鏡のようにしぐさをコピーするだけで、相手は気持ちよくなってしまうのです。

図の実験結果からもわかるように、ミラーリングで相手のしぐさを真似るだけで、相手から好感をもたれ、会話をスムーズに運ばせることができるのです。

「ミラーリング」で心をつかむ

【心理術】
ジロジロ見ると人は動かない

あなたのオフィスは、大きな部屋で多数の人が机を並べている従来型のオフィスでしょうか。それとも、最近よく見かけるようになってきている欧米型の、それぞれの机がパーティションで区切られている小部屋型オフィスでしょうか。

日本の大部屋型では、直属の上司が全員を見渡せる場所に座っています。さながら監視されているような状態で仕事をすることになります。

社員同士のコミュニケーションという意味では、日本の大部屋型もいいでしょう。ですが、生産性の観点から考えると、他者(とくに上司)の視線を感じずにすむほうが、仕事ははかどるものなのです。

部下たちの仕事ぶりを見るのは逆効果

この「他者の視線」について、ペンシルベニア州立大学のR・バリーは、おもしろい実験をおこなっています。

彼は、ショッピングモールの駐車場から出ようとしている車200台のドライバーたちを観察しました。

すると、自分の後方あたりで他の車が待ち、自分が出ていったスペースに入れようとしていると、出発までの時間が39.03秒かかりました。しかし、誰も待っていないときには出発までの時間が32.15秒と短くなったのです。

つまり、他人からジロジロ見られると、それに抵抗するためわざとゆっくり動いたり、あるいはストレスを感じて普段どおりの動きがとれなくなってしまうのです。

だから、部署全体の生産性を上げたいのであれば、部下たちの仕事ぶりをジロジロ見るのはやめたほうがいいでしょう。ある程度部下を放置し自由を与えて、見て見ぬフリを決め込むくらいがちょうどいいのです。もちろん、可能であれば机ごとにパーティションで区切るのが望ましいでしょう。

いちいち監視されるような状態は監獄にいるのと同じです。人間は何よりも自由な空気を好むのです。

人は監視されることに抵抗する

10秒で人を操る心理術
内藤誼人
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。
『世界最先端の研究が教える すごい心理学』(総合法令出版)、『いちいち気にしない心が手に入る本』(三笠書房)など著書多数。

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