ビジネスシーンにおける3種類のニューノーマル

ビジネスシーンにおいても政府からの指示はないものの、各企業は自主的に「ニューノーマル」を受け入れなければならない。新型コロナウイルス感染症に限らず、感染症の世界的流行や災害など予期せぬ災いに襲われる可能性は今後もある。なぜならその際に、企業活動を維持する必要があるからだ。

コロナ禍以前のように「みんなが一斉にオフィスに集い、仕事をするのが当たり前という状況には戻れない」と考えている企業は少なくない。ここでは、新型コロナウイルス感染症の5類移行後=「ポスト・コロナ」の働き方における3つのニューノーマルについて見てみよう。

働き方が多様化する

コロナ禍で1ヵ所に集って働くことが制限されたとき、多くの企業で在宅勤務や時差出勤、ローテーション勤務などが取り入れられた。ポスト・コロナにおいても、そうした勤務形態は継続して続くと考えられる。

これは、将来的な感染症拡大や災害などに対する危機管理という意味だけではない。コロナ禍によって企業と従業員の間で在宅勤務やローテーション勤務などの体制が整ったことで「みんなが一斉に会社に来なくても、なんとか仕事ができる」といったことを実感することになった。

例えば在宅勤務には、出勤・退勤時間がなくなることでストレスが減ったり、オフィスでの雑務がなくなることで効率性が向上したりする。また育児や介護などで離職しなくてはならなかった人が、在宅勤務なら仕事を続けられる点もメリットだ。

オフィスのあり方が変わる

すべての従業員が一度に出勤することがなくなれば、従来よりも小さなオフィスで事足りるようになる。またオフィスの所在地も交通至便な場所にとらわれる必要がない。ニューノーマルのオフィスは、これまでとは異なる発想で設計しなければならなくなる。

家やコワーキングスペース、カフェなどでも仕事はできるが、一方で「オフィスに出勤しなければできない仕事」も発生するだろう。例えば業務に必要な高価・高性能の設備を自宅に備えることは難しく、これはやはりオフィスに置くことになる。また一つのプロジェクトをともに進めるチームの関係性を構築するうえでもオフィスは必要だ。

さらに従業員の健康を維持するための場所としてもオフィスの存在は重要となる。コロナ禍においては、在宅勤務で生活リズムが乱れたり運動不足に陥ったりした人は少なくない。そのため今後は、心身の健康を保つために出社する“新しいスタイル”が生まれる可能性がある。

非対面・非接触のシーンが増える

コロナ禍では、人の接触が制限されオンライン会議や書類のオンライン決裁の環境を整えた企業も多い。以前なら会議や書類の決裁は「出勤しなければならない理由」の最たるものだったが、出社しなくても可能になったことでニューノーマルの仕事のあり方として定着するだろう。