オフィスでニューノーマルを実現するための4つの準備
オフィスでニューノーマルを実現するには、ニューノーマルを支える設備や仕組みが必要だ。
1. DXの導入をすすめる
DX(デジタルトランスフォーメーション)、つまりデジタル技術を使って働き方を改善する必要がある。前述した書類のオンライン決裁も在宅勤務を可能にしたDXの一つだ。コロナ禍では、オフィスに出勤する人間を抑えるためにAIを活用した顧客対応やロボットによる業務の自動化を導入する企業が増えたが、これらもDXの事例だ。
コロナ禍に導入されたDXの技術は、ポスト・コロナにおいても引き続き活用されている。
2. オフィスのあり方を見直す
上述したようにニューノーマルに合わせたオフィスを考えなければならない。オフィスに行かなくてもできる業務とオフィスに行かなければできない業務を整理し、オフィスの役割を改めて定義する必要がある。またコロナ禍のような感染症が再び来ることを想定し、執務エリアの在籍率を50%以下にするようなレイアウトにしたり、フリーアドレスを導入したりといった対応がオフィスに求められる。
3. 評価制度の見直しをすすめる
オフィスに常時出社しない形態が定着すると、上司は勤務態度や業務のプロセスをもとに部下を評価するのが難しくなり成果によって評価するような仕組みに見直さざるを得ない。しかし成果主義が行き過ぎると従業員のモチベーションが下がってしまう恐れがある。成果と業務プロセスをバランスよく評価に反映させることが重要だ。
上司と相談して従業員が自身で目標とそのために必要な取り組みを設定し、上司が振り返りや評価を行う「目的管理制度(MBO)」はテレワークとの相性がよい。
4. 事業継続計画(BCP)を策定する
事業継続計画(BCP)とは、災害や感染症の拡大などが起きたとき、被害を抑えながら企業活動を継続したり、復旧したりするために立てる計画だ。
ニューノーマルの意味が「新しい常態」であるように、私たちは再びコロナ禍のような感染症の流行に見舞われる可能性を意識しながら生活を送らなければならない。また近年は、水害や地震が頻発していることから自然災害への対応も必要だ。そこでBCPを作成し、非常時の対応を決めておきたい。
事業継続計画(BCP)の作成に役立つ資料
事業継続計画(BCP)を作成する際には、BCPを作成する目的を決め、災害発生時の被害やそのなかで優先して続ける事業をイメージすることが必要だ。またそのために必要な資源の調達方法や指揮系統などを決定し、作成したBCPを社内に定着させたり見直ししたりする作業も求められる。BCPの作成と運用に関する資料として内閣府の「事業継続ガイドライン」が役立つ。
また中小企業庁が定めた「中小企業BCP策定運用指針」は、中小企業の実情に即したBCPの作成方法が解説されている。BCP作成の際には、ぜひ参考にしてほしい。