レジリエンスの妨げとなる考え方
不適切な信念や思考パターン、外部要因への過度な依存は、レジリエンスを妨げる要因となる可能性がある。レジリエンスの妨げとなる考え方を理解することで、これらの考え方に対処する方法を見つけよう。
ABC理論
「人々の感情や行動は、刺激に対する信念や解釈によって左右される」とする理論だ。Aは「出来事・刺激(Activating event)」、Bは「認知(Belief)」、Cは「結果としての感情(Consequence)」を表す。レジリエンスを妨げる場合、負の信念や非現実的な思考パターンが強く影響し、困難に対処する力や回復力を阻害する。
A-C理論
「人々の結果としての感情(Consequence)は、外部の出来事・刺激(Activating event)から直結している」という理論だ。出来事と結果の間に自身の認知が入り込まず、場合により個人が自己責任を放棄して外部要因で行動を制御されるため、レジリエンスの妨げとなる。
レジリエンスを簡単に強化する日常的な行動
レジリエンスを強化するためには、個人の日常生活や組織の日常運営において取り組むことが重要だ。
個人の日常生活での行動
個人の日常生活では、ABCDE理論の活用が有効だ。Aは刺激(Activating event)、Bは信念(Belief)、Cは結果(Consequence)を意味し、Dは反省・反論(Dispute)、Eは効果や影響(Effect)を指す。ABCDE理論を活用し、自身の思考や信念を見直し、よりポジティブな視点を持つよう意識してみよう。
自身の負の信念を振り返り、より建設的な考え方に切り替えることでレジリエンスを強化できる。日常生活で実践できる主なトレーニング法は、以下の通りだ。
- ストレスマネジメントやリラクゼーション技法の習得
- 自己ケアやバランスの取れた生活習慣の確立
- ポジティブな思考や感謝の実践
- 挑戦や困難を経験する機会の積極的な探求 など
これらの行動を通じてストレスへの対処能力や回復力を養うことで、レジリエンスの強化が期待できる。
組織の日常運営での行動
組織を運営するなかでレジリエンスを日常的に強化するために有効な行動としては、以下が挙げられる。
- 社員のレジリエンス力を強化
- チャレンジを評価する企業文化を醸成
- ビジョンやミッションの浸透
- BCP(事業継続計画)への取り組み
組織は、社員のレジリエンスをサポートするために情報の適切な共有やオープンなコミュニケーションを促進する必要がある。またトレーニングやワークショップを通じてストレス管理や自己ケアのスキルを提供し、社員の心理的な健康とレジリエンスを向上させる取り組みも重要だ。さらに組織は、チャレンジや失敗を学びの機会と捉える文化を醸成することにも力を入れるべきだろう。
社員が新たなアイデアや提案に積極的に取り組める環境を整え、フィードバックと成長の機会を提供する。組織のビジョンやミッションを明確に伝え、社員に共有することで共通の目標に向かって取り組む意識や意義を高めることができるだろう。ビジョンやミッションは、組織全体のレジリエンスを強化する重要な要素だ。
組織は、予期せぬ出来事や災害に備えるためのBCPを策定し、実施することでレジリエンスを高めることができる。BCPとは、組織の持続性を確保し困難な状況にも迅速かつ適切に対応するための枠組みだ。これらの日常的な行動が個人や組織のレジリエンスを強化し、変化や困難に対処する力を育むのに役立つ。