本記事は、林恭弘氏の著書『「嫌いな人」のトリセツ』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

コミュニケーション
(画像=Dimitrie / stock.adobe.com)

あなた自身がつくり出している「苦手な人」

「人間関係って、化学反応みたいだな」と私は思います。

例えば物質Aと、物質Bを混ぜると〝X〞という反応が起こるとします。でも物質Aと〝C〞という物質を混ぜると、今度は〝Y〞という全く違う反応が起こるわけです。

このことを人間関係に当てはめてみましょう。

Aさんという人が、あなたにとってたまらない「苦手な人」だとします。これが反応〝X〞です。しかしAさんが〝極悪非道のX〞かというと、Cさんという別の人が関わると〝Y〞というとても良い反応が起こることがあるのです。

人間関係ではこのことを俗に、〝相性〞というのかもしれません。そして「Aさんとは相性が悪いから、どうしようもないよ」とあきらめて、避ける・逃げる、あるいは今までの悪いパターンを延々と繰り返すことが多くなるのです。

しかし〝相性〞は生涯続く因縁などではなく、〝変えることができる関係性〞なのです。でもその関係性は、Aさんを変えるのではなく、〝あなたが変わる〞ことで抵抗なく変わることができるのです。

今までは、「Aさん×あなた=X」だったのが、あなたが新しいことを学び、少し変わること(+α)によって、「Aさん×(あなた+α)=Z」になるのです。そうすると何もAさんとの関係だけではなく、あなたが新しいことを学んでちょっと変化するだけで、さまざまな人との関係もより良くなっていくわけです。

このことを踏まえて、次はあなたにとって、「苦手な人」の中の「怖いカテゴリー」から考えてみましょう。

〝怖い〞相手との関係は、自分<相手ということですから、あなたと相手の地位・役割、年齢、経験、性格などの面において、低い・弱い(後輩・部下、年少、未熟、劣勢、弱い)状態にあなた自身がいることになります。

しかし、その低い・弱い状態は地位・立場、年齢、経験などのように必然的に発生しているものだけではなく、あなた自身が「つくり出している」ことに気付く必要があります。つまりその相手との化学反応は、なにも相手の性格の偏りだけではなく、あなた自身も原因の一部になっているということです。

『「嫌いな人」のトリセツ』より引用
(画像=『「嫌いな人」のトリセツ』より引用)

自分自身をどのように感じていますか

あなたは自分自身のことを、どのように感じていますか? どのように評価していますか? 自尊心を持てていますか?

あなたが「どのように自分を感じているのか」ということが、相手との関係に大きく影響しています。

あなたがもし、「私はOKではない」というスタンス(意識や思い)を持っているとしたらそれが相手に伝わり、「そう、あなたはOKではない」という要素が相手から引き出されやすくなります。

ここで言う「私はOKではない」という意味は、「私は価値が低い」「私は有能ではない」「私は重要ではない」「私は、私のままではいけない」ということを含んでいます。

具体的な表現をすると、「意思表示をはっきりしない」「反論しない」「追随的」「萎縮しやすい」「自信が持てない」などです。

もちろん人はみな、自信満々であるわけではないので、「私はOKではない」という感覚は誰でも多少は持っています。しかし、この感覚が強いと、相手はあなたを「弱い存在」とみなして、無茶な言動を取る可能性が高まります。

「私はよくいじめられるのです」「キツく当たられることが多くて」と言う人たちは、みなこのタイプです。

もちろんあなたのせいばかりではなく、相手にも「批判的」「攻撃的」「強制的」などあなたを脅かす要素があります。しかし、その「苦手な=怖い」要素は誰にでも同じように発揮されるかというと、必ずしもそうではない場合があります。例えば、同じミスをしたとしてもキツく叱りやすい人と、なぜか叱りにくい人がいるようにです。

もしあなたが必要以上にキツく当たられる、あるいは理不尽な言動をぶつけられる機会が多いとしたなら、「私はOKではない」というスタンスを無意識の中で感じている可能性が高いでしょう。

『「嫌いな人」のトリセツ』より引用
林恭弘(はやし・やすひろ)
ビジネス心理コンサルティング株式会社代表取締役。
日本ビジネス心理学会参与。日本メンタルヘルス協会特別講師。
幼児教育から企業を対象とする人事・教育コンサルタントの分野まで講演・研修会、セミナー、著作などにて幅広く活動。
「活力ある社会とやさしい家庭を創造する」をテーマに、日常生活に実践的ですぐに使える心理学を紹介する。
著書に『「落ち込みグセ」をなおす練習』『自分の気持ちを伝えるコツ50』『誰といても疲れない自分になる本』『世界一やさしい人間関係の教科書』(いずれも総合法令出版)などがある。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
ZUU online library
※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます。