投資をするなら「リスクリワード」の概念は必ず知っておきたい。リスクリワードとは、どれほどのリスクでどれくらいの利益が狙えるか、という視点をいう。本記事では、活用方法なども含めて詳しく解説する。

リスクリワードの意味

投資における「リスクリワード」の概念とは ? 勝率との違いや活用方法も解説
(画像=Andrey Popov / stock.adobe.com)

リスクリワードというワードは「リスク (損失) 」と「リワード (報酬) 」に分解できる。リスクリワードとつなげて一単語にした場合は、「損益の平均値 / 見込額」のことを指す。

リスクリワードは、過去の取引と今後の取引でそれぞれ算出することができる。過去の取引の場合、過去の取引における「勝った取引の平均利益」を「負けた取引の平均損失」で割る。例えば「買った取引の平均利益」が2万円、「負けた取引の平均損失」が1万円の場合、「2万円÷1万円」でリスクリワードは「2」となる。

今後の取引の場合、「利確する利益額」を「損切りする損失額」で割ると算出できる。例えば、「利確する利益額」が2万円、「損切りする損失額」が1万円なら、リスクリワードは先ほどと同様に「2万円÷1万円」で「2」となる。

一般的には、リスクリワードが「2~3程度」になることが理想的だとされている。これを取引の際に心掛けることで、勝率があまり良くなくても利益を残しやすいというのが理由だ。

具体的にどうやって計算する ?

前述の計算方法を参考に、株式投資や投資信託、為替取引を例にして、実際に過去の取引のリスクリワードを計算してみよう (以下、△はプラス、▲はマイナスを示す) 。

計算例1. 株式投資の場合

過去3回、A~C銘柄を別々に取引し、それぞれ以下のような損益が出た場合、リスクリワードは「0.92」 (23,000÷25,000) となる。

銘柄Aの取引:△23,000円
銘柄Bの取引:▲15,000円
銘柄Cの取引:▲10,000円
リスクリワード:0.92

計算例2. 投資信託の場合

過去3回、A~Cの3種類の投資信託を別々に取引し、以下のような損益が出た場合、リスクリワードは「0.24」 (12,000円÷50,000円) となる。

投資信託Aの取引:▲20,000円
投資信託Bの取引:△12,000円
投資信託Cの取引:▲30,000円
リスクリワード:0.24

計算例3. 為替取引の場合

過去3回、ドル円の取引で以下のような損益が出た場合、リスクリワードは「1.79」 (52,000÷29,000円) となる。

1回目の取引:▲19,000円
2回目の取引:△52,000円
3回目の取引:▲10,000円
リスクリワード:1.79

リスクリワードと勝率の違い

このように、さまざまな投資でリスクリワードの概念は使える。そしてここまでの説明で、あることを感じた人がいるかもしれない。リスクリワードが1を下回っている場合、「取引を重ねれば重ねるほど損失が増えるのではないか」という点だ。

この考え方には誤りがある。リスクリワードが低くても、「勝率」が高ければ利益は増えていく。

例えば過去の取引において、「勝った取引の平均利益」が1万円、「負けた取引の平均損失」が2万円だと、リスクリワードは0.5となるが、過去の取引の勝率が10回の取引で70% (7勝3敗) だと、損益は「7万円 (1万円×7勝) − 6万円 (2万円×3敗) 」でプラス1万円となる。

リスクリワードの概念の活用方法

自分の過去のトレードのリスクリワードを算出すれば、目標とする利益を達成するためにはどれほどの勝率で、どれくらいの取引回数を重ねればいいか、予測することができる。

わかりやすくリスクリワードが「1」の場合で考えてみる。「勝った取引の平均利益」が2万円、「負けた取引の平均損失」が2万円の場合、リスクリワードは「1」となり、勝率が50%だと、取引回数を重ねても損益は±0円前後の状況が続くことになる。

しかし勝率が60%に上がれば、10回の取引で「12万円 (2万円×6勝) − 8万円 (2万円×4敗) 」で4万円の利益が出ることになり、1回当たりの取引の利益額は4,000円となる。であれば、仮に40万円の利益を目標にする場合、100回の取引が目標達成の目安となる。

リスクリワードはどう改善させる ?

勝率は簡単に上げられるものではないため、リスクリワードの方を改善させる工夫も常に考えていたいものだ。リスクリワードを改善するには、「勝った取引の平均利益」を増やすか、「損切りする損失額」を減らすかの2つのアプローチがある。

例えば「勝った取引の平均利益」を増やす場合、株価が上昇トレンド中に一部を利益確定してまず最低限の利益を確保し、残りの保有株でさらなる利益拡大を目指す、といった方法がある。もちろん上昇トレンドがその後も続くかは分からないのだが、その銘柄がトレンドに沿った動きをしやすい傾向にあるなら、こうした工夫をしてみる価値はある。

「損切りする損失額」を減らすためには、損切りラインを浅めに設定するといった方法が考えられるだろう。

リスクリワードは定期的に分析しよう

リスクリワードは、定期的に分析することが大切だ。まずは、自分の過去の取引におけるリスクリワードを算出し、今後の取引方針の検討材料にしてみよう。その際、勝率とのバランスを加味することも忘れないようにしたい。

(提供:大和ネクスト銀行


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