本記事は、内藤 誼人氏の著書『人間関係に悩まなくなるすごい心理術69』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

ベッドから起きる女性
(画像=taka / stock.adobe.com)

早起きの習慣を身につける

人間のタイプは、朝型タイプと夜型タイプに分けることができます。

朝、起きてすぐでも調子がよくて、午前中からバリバリ仕事ができる人は朝型。起きてしばらくは頭も働かず、午後になってようやく調子が出てくるのが夜型です。

さて、いろいろな悩みを抱えやすいのは、朝型と夜型ではどちらのタイプなのでしょうか。正解を言えば、「夜型」です。朝型の人は、あまり悩みません。

ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のジャコブ・ノタの調査によると、朝型の人ほど、クヨクヨと心配したり、悩んだりしないそうです。

もしみなさんがあれこれと思い煩うことが多いタイプなのであれば、ひょっとすると夜型人間だからかもしれません。

ありがたいことに、朝型とか夜型というのは、生活習慣を変えることで、だれでも変えることができます。就寝時間を早め、起床時間も早めるようにすると、だれでも朝型人間になれるのです。

いきなり朝型に変わるのはムリですが、何週間かかけて、就寝時間を30分ずつ早めるとか、30分だけ早起きをするようにしていれば、自然に朝型人間になっていくでしょう。

夜型人間には、悩みが多いばかりでなく、イライラしがちだという問題もあります。

ドイツにあるハイデルベルク大学のクリストフ・ランドラーが5つの大学の学生432人について調査したところ、夜型人間のほうが、身体的にも、言語的にも攻撃性が高いことがわかりました。夜型の人は、カッとするとすぐに暴力を振るいますし、言葉でも人を攻撃しやすいのです。

夜型だと、怒りっぽい人間にもなってしまうのです。

だいたい夜型の人は、朝型の人に比べて、睡眠時間も短く、しかも睡眠の質も劣るということもわかっています。ぐっすり眠ることができないので、それによってイライラしやすいのだと考えられます。

さらにランドラーは、朝型の人は、夜型の人より、すべてに意欲的で、行動的であることも突き止めています。

いろいろなことを総合的に考えると、やはり朝型のほうに軍配が上がります。朝型の人ほど、あまり悩みごとも感じませんし、他の人にイライラすることもありませんし、エネルギッシュに行動できます。

できるだけ早起きの習慣を身につけましょう。

朝、目が覚めたらすぐにカーテンを開けて、お日さまの光を浴びてください。すぐに洋服を着替えてください。目が覚めているのに、いつまでもダラダラとお布団の中にいてはいけません。そういう習慣を身につけると、だれでも朝型人間になれます。

大きな目標は持たない

人生に目標を持つことはとても大切ですが、目標の高さも重要です。自分ではとうてい達成できないような目標を掲げても、目標がかなうことはありませんので、余計に落ち込むことになります。

カナダにあるコンコーディア大学のカーステン・ロッシュによりますと、「自分にはムリそうだな」という達成不可能な目標は、さっさと諦めてしまったほうが、うつの症状が減少し、ネガティブ感情も抱かなくなるそうです。

目標を持つのなら、「これなら自分でも何とかなりそう」と思えるようなレベルでなくてはなりません。

「目標を高く持て!」という人のほうが多いと思うのですが、とんでもない話で、「目標はできるだけ低く持つ!」としたほうが賢明です。低い目標なら、ほんの少し努力するだけで達成できるので、爽快な気分になります。ひとつの目標をクリアしたら、また他の低い目標を持てばいいのです。

少し話は変わりますが、莫大な財産を持ちたいとか、大豪邸に住みたいとか、そういうアメリカン・ドリームを持つことは果たしてよいことなのかどうかと疑問に感じて調べた研究者がいます。

イリノイ大学のキャロル・ニッカーソンは、1976年に21の大学に入学した新入生を、約20年後に追跡調査してみました。選ばれた21の大学では、新入生に対して、「あなたにとって経済的に成功することがどれくらい重要ですか?」という質問へのデータをとっていたのです。

その結果、大学一年生のときに「お金持ちになることは、私にとって重要」と答えていた人ほど、20年後には高い収入を得ていることがわかりました。大きな目標を持っていると、本当にアメリカン・ドリームを手に入れることができたのです。ここまではとてもいいお話です。

ところが、人生満足度について調べてみると、目標をかなえた人たちほど、逆に低いということもわかりました。

アメリカン・ドリームを達成するためには、それこそ仕事だけに生き、人生の多くのことや、家族を犠牲にしなければなりません。家族で旅行にお出かけをしたり、大笑いしながら夕飯を囲んでおしゃべりしたりするということもできないため、人生に不満を感じてしまうのです。

大きな目標を持つことは、実際のところ、そんなによいことでもないのかもしれません。

せっかくお金持ちになれたとしても、ひとつも趣味を持っていないとか、家族と仲良くおしゃべりすることもないのであれば、人生の喜びや嬉しさは半減以下になってしまうのではないかと思われます。

達成困難な目標にチャレンジするよりは、仕事と家庭のバランスをとり、ほどほどに頑張るようにしたほうが、幸せな人生を歩めるのではないでしょうか。

人間関係に悩まなくなる心理術69
内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。 著書に『いちいち気にしない心が手に入る本:何があっても「受け流せる」心理学』(三笠書房)、『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、『世界最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100』(総合法令出版)、『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)、『羨んだり、妬んだりしなくてよくなる アドラー心理の言葉』(ぱる出版)など多数。その数は250冊を超える。
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