本記事は、内藤 誼人氏の著書『人間関係に悩まなくなるすごい心理術69』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

人間関係の悩み
(画像=takasu / stock.adobe.com)

だれも自分のことなんて気にしてないよ、と考えよう

「周りの人に、私はどんなふうに思われているのかしら?」
「みんなうわべではやさしいけど、本当は僕のことを嫌っているんじゃないかな…」
「私の顔にできたニキビを、みんながじろじろ見ている気がする…」
「服装のセンスがないヤツだなって思われていないかな」

私たちは、だれでも自分が周りの人にどう思われているのかが気になるもの。

では、そんなみなさんのために、ものすごくタメになるお話をしておきましょう。はっきり申し上げれば、他の人たちは、みなさんのことなど気にしていません。もっとはっきり言うと、「他の人なんてどうでもいい」と思っているはずです。

他の人にどう思われているかなど、もともと悩む必要なんてこれっぽっちもないのです。どうでしょう。こういう事実を知れば、少しは心も軽くなるのではないでしょうか。

私たちは、自分自身にだけスポットライトが当たっていて、周囲の人から浮き上がって見えていると思いがち。

こうした心理傾向は、「スポットライト効果」と呼ばれています。本当はスポットライトなんて当たっていませんし、だれもみなさんのことなど気にも留めていないのに、自分だけがスポットライトが当たっているように感じて、あれこれ悩んでいることが多いのです。

コーネル大学のトーマス・ギロビッチは、実験参加者にとても恥ずかしいTシャツを着てもらい、キャンパス内を歩いてきてもらいました。

そして元の場所に戻ってきたとき、「通り過ぎた人たちが、どれくらいあなたのことを見ていたと思いますか?」と尋ねてみました。すると参加者たちは平均して「47%の人は、私のことをじろじろと見ていた」と答えたのです。特に男性が自意識過剰で、59%が自分 を見ているとしました。

ところが実際には、そんなに見ていませんでした。参加者の後からこっそり後をつけた人が、通り過ぎる人がいるたびに、「さっきすれ違った人のTシャツを見ました?」と確認してまわっていたのですが、24%の人しか見ていなかったのです。

他の人は、みなさんのことなどそんなに気にしていないのですよ。

「いやあ、たったひとつの研究だけでは…」と思う人がいるかもしれませんね。

ですが、ギロビッチの研究は、ドイツにあるウルム大学のステファン・ファツェイチャーも追試研究をしているのです。

ファツェイチャーがドイツのポップ歌手フロリアン・シルベライセンの顔写真がプリントされたTシャツ、あるいはアルカイダの元リーダーであるオサマビンラディンのTシャツ、旧ソ連の国旗のTシャツで追試してみたところ、やはりスポットライト効果が確認されました。

相当に目立つような格好をしていても、他の人はそんなにみなさんのことなど見ていません。ですので、ビクビクする必要はまったくないのです。

少しくらいメイクが崩れていようが、髪の毛に寝ぐせがついていようが、シャツにシミがついていようが、心配することもないのです。だれも気にしていませんから。

自己アピールがヘタでも、 全然気にしなくてOK

極度の内気で、引っ込み思案で、人と会うとしどろもどろになってしまう人がいます。

自分のよさを他人にわかってもらいたいとは思うものの、自己アピールがうまくできないので、人に会うたびに残念な思いをしてしまう人です。

ひょっとすると、みなさんの中には、そういうタイプの人がいるかもしれませんね。

ですが、自己アピールがうまくできなくとも、まったく気にしなくて大丈夫ですよ。わざわざ自己アピールなどしなくとも、そのうちみなさんの良さは他の人にわかってもらえるはずですから。

カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学のデルロイ・ポーラスは、お互いに面識のない大学生たちを集めて心理テストを受けてもらい、それから4人、あるいは5人のグループを作らせて、毎週20分、7週間連続でミーティングをしてもらいました。

ミーティングで話し合うテーマは、自分の家族のこと、自分の長所や短所など、毎回異なるテーマにしました。ミーティングが終わると、毎回、他のメンバーについての印象を答えてもらいました。

その評価を分析してみると、1回目にメンバーから高い評価を受けるのはナルシストタイプの人でした。ナルシストタイプは、振る舞いも堂々としていますし、自己アピールも得意なので好印象を与えたのです。

ところが、そんなナルシストタイプは、7回目のミーティングには嫌われていました。初回こそ好印象を与えるものの、そのうち他のメンバーには嫌われてしまったのです。「なんだかあいつ自分ばっかりしゃべっているな」「大きなことを言うクセに、口だけなんだよね」というように、メッキがはがれてしまうのです。

その点、自己アピールが苦手な内気な人は、7回目のミーティングの後では良い印象を与えていました。他のメンバーもさすがに7回も顔を合わせていれば、内気な人の良さがわかってくるのです。「落ち着いていていい」「謙虚な感じがいい」というように。

自己アピールができないからといって、落ち込んだり、悩んだりすることはありません。第一印象はちょっとだけソンをするかもしれませんが、そのうちリカバリーできるのですから、悩む必要はないのです。

内気な人は、そんなに焦って自己アピールしようとしないほうがいいですよ。自分の良さはゆっくりわかってもらえればいいか、と割り切って、気にしすぎないようにするのがポイントです。

人間関係に悩まなくなる心理術69
内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。 著書に『いちいち気にしない心が手に入る本:何があっても「受け流せる」心理学』(三笠書房)、『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、『世界最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100』(総合法令出版)、『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)、『羨んだり、妬んだりしなくてよくなる アドラー心理の言葉』(ぱる出版)など多数。その数は250冊を超える。
人間関係に悩まなくなるすごい心理術69
  1. 内気で自己アピールがうまくできないのは、気にしなくて大丈夫
  2. 人前でしゃべることが苦手なのは、正常な反応
  3. 勇気を振り絞って苦手な人の懐に飛び込んでみよう
  4. ネガティブな出来事は、自分が思っているほど起きない
  5. 人の心は、私たちが思っているよりも強い
  6. 聞き役に徹したほうが、相手に好かれる
  7. 朝型の人ほど悩まない。早起きの習慣を身につけよう
  8. 言い争いをすることほどバカバカしいことはない
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