投資の世界では「100-年齢」の数字が、リスク資産の割合の上限値になるという考え方がある。本記事では、この考え方を踏まえて、リスクが高め (低め) の投資商品や「100-年齢」に当てはめた場合のポートフォリオの一例を年代別に紹介する。

「100-年齢」という考え方

「100-年齢」で決める投資のリスク資産割合。年代別ポートフォリオ例も紹介
(画像=tadamichi / stock.adobe.com)

年齢が若ければ、投資によって損失が出ても、労働による収入で損失分を取り戻しやすい。また一時的に評価損が出ても、時間が経てば損失が回復する可能性もあるため、多少のリスクを背負ってでも、ある程度大きなリターンを狙いやすい。

一方、年齢が60歳を超えると労働による収入は減っていく傾向があるうえ、残された人生の時間を踏まえると評価損が回復するまで待てないこともある。

そこで生まれたのが、高齢になるほどリスク資産の割合を減らすべきだという「100-年齢」の考え方だ。例えば60歳の場合、「100-60=40」で40%がリスク資産の割合の上限値となる。

リスクとリターンの関係

一般的に、リターンの期待値が高いほどリスクも高くなる。逆にリターンの期待値が低いほどリスクも低くなりやすい。そのため、リスク資産の割合を減らすということは、リスクが減るのと引き換えにリターンの期待値も減るということは念頭に置いておきたい。

投資商品におけるリスクが高いものと低いもの

続いて、投資商品ごとのリスクについて解説する。

リスクが高めの投資商品

リスクが高めの投資商品として「個別株」が挙げられる。大きなリターンを狙える可能性がある一方、日本株でも1日20%程度、米国株だとそれ以上の下落をすることもある。特にハイテク株は配当狙いで投資している人が少ないため、マイナス要因が生じると一気に売られやすく、下落リスクが高い。

株式を中心とした投資信託やETF (上場投資信託) も個別株の集合体であることから、さまざまな投資商品全体の中ではリスクが高めだ。ただし、投資信託やETFの中には資産分散型のものもあり、その場合はリスクが下がる。

リスクが低めの投資商品

リスクが低めの投資商品としては、金利収入を安定的に得られる「外貨預金」や「外貨積立」が挙げられる。ただし、為替変動による一時的な評価損があることには注意したい。場合によっては評価損が回復するまで時間を要することもあるため、保有する外貨を分散するなどの視点も重要だ。

また、債券もリスクが低めの投資商品といえる。発行体が債務不履行にならない限り償還時に決まった金額が戻ってくることに加え、金利収入も得られる (割引債の場合は発行額と額面との差が金利に当たる) 。債務不履行のリスクを抑えたい場合は、日本を含む先進国の国債が最適だろう。

なお、言うまでもないが日本円での預金は基本的に元本保証型 (※ただし金融機関が破綻した場合は、保護の対象は上限1,000万円となる) なので、かなりリスクが低めだ。ただし、投資商品とは呼べないほど金利が低い。

ここまでの内容を踏まえて、次項からは投資におけるポートフォリオの考え方や実際のポートフォリオ例を年代別に見ていこう。

50代におけるポートフォリオの考え方と例

現役引退を意識し始める50代は、老後資金を準備できるラストチャンスともいえる重要なフェーズだ。とはいえ、まだ現役で働いている世代のため、資産を減らさない工夫を行いながらも、攻めの姿勢は残しておきたい。

50代のポートフォリオの例

「100-年齢」の考え方にあてはめると、「リスクが高めの資産50%、リスクが低めの資産50%」となる。以下のポートフォリオでは、攻めの投資として株式投資の割合をある程度高くしつつも、ほかの資産も保有し、バランスを取っている。

【リスクが高めの資産】
・株式投資:30%
・株式を中心とした投資信託・ETF:20%

【リスク低めの資産】
・外貨預金:20%
・債券:20%
・円預金:10%

60代におけるポートフォリオの考え方と例

60代は退職金を元手に大きなリターンを狙ってしまいがちだが、リスクが高めの商品に安易に投資することは避けたい。また、余剰資金を徐々に生活資金に充てていくであろうことも踏まえ、投資商品の流動性 (※すぐに現金化できるかどうか) も意識し始める必要がある。

60代のポートフォリオの例

同様に「100-年齢」の考え方にあてはめると、「リスクが高めの資産40%、リスクが低めの資産60%」となる。株式投資より投資信託・ETFの方が、分散効果によりリスクを抑えやすいため、株式投資の割合を下げる。また、円預金の割合を20%まで高め、より守りの側面を強くしている。

【リスクが高めの資産】
・株式投資:20%
・株式を中心とした投資信託・ETF:20%

【リスク低めの資産】
・外貨預金:25%
・債券:15%
・円預金:20%

70代におけるポートフォリオの考え方と例

70代は基本的に労働収入を期待できない年代のため、大切な資産を減らさないことを意識し、より安全度を高めた運用が求められる。

70代のポートフォリオの例

「100-年齢」の考え方だと、「リスクが高めの資産30%、リスクが低めの資産70%」となる。株式投資の割合を15%まで下げ、かつリスクが低めの外貨預金の割合を増やし、さらに外貨預金の中で保有する外貨の分散も行いたい。

また、償還を待つタイプの債券への投資はやめ、その分、円預金の割合を高めて資産の流動性が高い状態にしている。

【リスクが高めの資産】
・株式投資:15%
・株式を中心とした投資信託・ETF:15%

【リスク低めの資産】
・外貨預金:30%
・円預金:40%

現在と将来のポートフォリオを考えてみよう

「100-年齢」はあくまで一つの考え方に過ぎず、前述のポートフォリオもあくまでも一例ではあるが、年齢が上がるにつれてリスクを抱えにくくなるというのは、多くの人が感じることだろう。

いまあなたは何歳だろうか。あなたの実年齢で「100-年齢」の計算をしてみて、現在最適なポートフォリオと、将来つくるべきポートフォリオを考えてみよう。

(提供:大和ネクスト銀行


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