◉2008年の人気投資信託ランキング
次に2008年の資金流入ランキングを見ると 、新興国や豪州などの高金利国に投資する債券ファンドに人気が集まっています 。7月から10月までユーロ圏の政策金利は4.25%を保ち、3月から8月までオーストラリアの政策金利は7.25%を保ちました。この年の9月に米国発の金融危機が拡大し、各国の政策金利は下がっていきます。
2008年度資金流入ランキングと直近のポートフォリオ
※モーニングスターカテゴリは2013年4月30日、投資地域は2012年8月~9月のデータです
上にも書きましたが、米国のサブプライム住宅ローン問題を契機に始まった金融混乱は、2008年秋口以降、特に9月に米国の主要投資銀行であったリーマン・ブラザーズが経営破綻したことなどをきっかけに、世界的な金融危機へと発展します。
米欧の金融機関が、大きな流動性リスクを抱え込みながら国際資金取引の仲介において業容を拡大させてきたこと、そして、そうした金融取引の拡大が、実体経済の拡大に比べ行き過ぎていたことなどが問題ともいわれており、その後の調整を深く苦しいものにしました。
◉2009年の人気投資信託ランキング
2009年は、レアルの通貨選択型ファンドやレアル債が人気となります。
通貨選択型ファンド(レアル)のうち2つは、主に北米を投資地域とするものです。1月にはオバマ米大統領が就任し、10月にはブラジルのリオデジャネイロが2016年夏季オリンピックの開催地に選ばれた年でした。リーマンショックの結果として、全世界的に低金利が続き中で、大手証券会社を中心に、通貨選択型の債券投信やREIT投信がブームになり始めました。高金利通貨のプレミアムを受け取りながら利回りの高いハイイールド債券やRIETに投資することで多額の分配金が出るという、いわゆる「分配金バブル」とも呼ばれる現象が始まった年でした。
2009年度資金流入ランキングと直近のポートフォリオ
※資金流入額ランキングは2009年12月25日時点
※モーニングスターカテゴリは2013年4月30日、投資地域は2012年8月~9月のデータです
2009年春頃を境に、過度な金融システム不安の後退や、在庫調整の進捗を受けた景気底入れ期待の拡がりを受け、市場参加者の投資意欲は急回復を示します。しかし、いわゆるドバイ・ショックを契機に国際金融資本市場に動揺が表れたように、投資家の姿勢がやや萎縮する局面もみられました。
しかし、基本的には主要な中央銀行が低金利政策を続ける姿勢を明確化したことなどから、リスク性資産への資金流入は、幾分、ペースを緩めつつも継続します。こうした資金の流れは、先進国内に止まらず、相対的に高い経済成長が期待される新興国へも向かったため、これらの国々では株価や通貨の上昇傾向が続きました。また、国際商品市況や一部の国では不動産市況も上昇しました。
以上、2007年〜2009年の人気投信ランキングと経済・金融のまとめをお届けしました。
アベノミクスにより日本は株高、米国の量的緩和が続き世界的にも株高が続いており、また長期の円高から円安トレンドに大きくシフトしました。この中で、また2007年のような状態になっていくのでしょうか?過去から学ぶべきものは少なくないと思います。
次回は、引き続き2010年以降のランキングをご紹介します。
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BY saya