老後資金の準備を万全にしたいなら、早くから「じぶん年金」をつくっておくことが理想的だ。この記事では、公的年金や私的年金の基礎知識に加え、じぶん年金をつくる際の資産運用面でのポイントや注意点などについて解説する。

公的年金と私的年金

老後に備えて「じぶん年金」をつくろう。設計方法やポイントを解説
(画像=Watchara / stock.adobe.com)

年金は、大きく「公的年金」と「私的年金」の2つに分けられる。

公的年金とは ?

公的年金は、国が運営する年金制度で「国民年金」と「厚生年金」に分類できる。国民年金は20歳以上60歳未満のすべての人が加入し、さらに会社員や公務員は厚生年金にも加入する2階建て構造となっている。

私的年金とは ?

私的年金は、「企業が福利厚生の一環として導入するタイプ」と「個人が任意で加入するタイプ」に分類できる。前者は、企業型確定拠出年金や厚生年金基金、確定給付企業年金などが挙げられ、後者はこの記事でいうところのいわゆる「じぶん年金」だ。

個人で「じぶん年金」をつくろう

公的年金に加えて、企業型確定拠出年金や厚生年金基金、確定給付企業年金などに加入していれば、それだけでも一定程度の老後の安心は手に入る。しかし個々人がそれぞれの意思でじぶん年金をつくっておけば、老後の安心度はさらに増す。

じぶん年金をつくる際には、まず国の税制優遇制度を最大限利用したい。具体的には、個人型確定拠出年金であるiDeCoや、少額投資非課税制度であるNISAなどだ。iDeCoは、掛け金と運用益の合計額をもとに老後に年金形式で給付を受けられる。一方のNISAは、いつ資金を引き出しても大丈夫だが、計画的にお金を引き出すことで年金のような機能を果たすことが可能だ。

ただし、これらの国の税制優遇制度は、運用額に上限が設けられているため、その制度の枠以上に年金を準備したい場合は、iDeCoやNISAとは別の枠組みで資産運用をする必要がある。

じぶん年金の設計方法

年収が高めで資産が多い人の場合、iDeCoやNISAの枠内だけで資産運用をしようとすると、全資産のうち資産運用にまわせる割合を大きくできない。そのため前段でも触れたが、iDeCoやNISAとは別の枠組みで資産運用をすることが求められる。

ここからはその前提で話を進めながら、なおかつ資産を保有しているだけで収益が得られる「インカムゲイン」の視点で、じぶん年金のつくり方を紹介していく。

まずは目標を定める

まずは、じぶん年金によって将来的に毎月いくらのインカムゲインを得たいのかを決めよう。例えば「65歳から毎月5万円のインカムゲインを得たい」といった具合だ。

投資対象を決める

目標が定まったら、インカムゲイン目的の資産運用において何に投資をするか決めよう。安定的にインカムゲインが得られる代表的なものとして、「外貨預金」が挙げられる。

外貨預金は、円預金より高い金利がつく外貨に円を換え、その外貨を保有し続けることで資産を増やすスピードを加速させる投資手法だ。外貨を保有し続けてさえいれば安定的に金利収入が得られるため、インカムゲイン目的の資産運用で選ばれる投資手法の一つだ。

そのほかインカムゲインが得られる投資対象として、定期的に配当が入る「株式」や、家賃収入が得られる「不動産」などが挙げられる。ただし個別株は、業績によって株式の価値が一気に暴落するリスクがある点に注意が必要だ。また、不動産は万が一のときに現金化しようとしても、売却にある程度の時間がかかることを念頭に置いておきたい。

予想リターンから、毎月の投資額を算出

投資対象を決めたら、予想リターンから毎月の投資額を算出しよう。ここでは、毎月自分で指定した日に自動で外貨を購入し、外貨普通預金口座に預け入れる「外貨積立」を行うケースで考えてみる。

例えば金利が5%の場合、毎月5万円、年間で60万円 (5万円×12ヵ月) のインカムゲインを得るためには、1,200万円の外貨預金が必要になる。

50歳から外貨積立を行う場合は、毎月44,895円を積み立てると、15年目、つまり65歳時には外貨預金が1,200万円に達する。なお、同条件で毎月5万円のインカムゲインを得る年齢を70歳に後ろ倒しすると、毎月の積立額はもう少し小さくなり、29,195円に抑えられる。

ただし外貨預金で受け取る金利収入は、20.315%の税率で課税の対象となるため、実際に手元に残る金額は上記の計算より少なくなる点に留意しよう。

じぶん年金は「積立」がおすすめ

公的年金が積立型で行われるのと同じように、じぶん年金も積立型で行うのが無難だ。投資した資産がどんなものであれ、基本的に資産価値は上下する。インカムゲインが安定的に得られても、インカムゲインによるリターンを超えて資産価値が大きく下がってしまうと、一時的にトータルでの自分の資産価値は目減りする。

積立投資には、こうしたリスクを抑える効果がある。投資するタイミングの分散、つまり「時間の分散」によって、長い目でみれば投資対象の資産をその資産の平均的な価値で保有することができることが期待できるからだ。

じぶん年金をつくることは、インフレ対策にもなる

じぶん年金づくりは、インフレ対策になるということも知っておきたい。インフレに備えるためには資産運用によって「お金にお金を稼いでもらう」という視点が欠かせないが、投資型でじぶん年金を新たにつくるということは、イコール資産運用を始めるということだ。

つまり、自分年金をつくることによって老後の安心度が増すだけでなくインフレによる物価上昇にも備えることができるため、一石二鳥といえるだろう。

(提供:大和ネクスト銀行


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