◉エクイティ型クラウドファンディングとKickstarter


Kickstarterも、資金調達の主流に代わる方法として自らを位置づけています。しかし、投資リターンを求める投資家にサイトを開放するつもりはなく、そもそものビジョンが歪んでしまうと考えています。
ウェブサイトには、「Kickstarterの健康とクリエイティブ精神を長期的に守りながら、出来る限りオープンでありたい」と書かれています。なお、CEOで共同創設者のペリー・チェンは、コメントを拒否しています。

Indiegogoの1年後に立ち上げられたKickstarterのサイトは、各プロジェクトを支援する個人にセイフティネットのようなものを提供しています。担保された資金は、起業家もしくはアーティストが目標額を達成した時のみ回収されます(Kickstarterは5%を手数料として回収)。

またKickstarterは、ガイドラインを満たしていない申請を却下するなど、キュレーター的役割も果たしています。Kickstarterは自サイトを「クリエイティブプロジェクト」のためのサイトと位置づけており、提案の約25%はサイト掲載に至りません。
化粧品、サングラス、武器関連アクセサリーや「大義的」なものも認められていません。例えば、「Mission Cheese」のドヴォラック氏はKickstarterでは許可が下りませんでした。彼女が申請した時点では、進行中の取り組みを許可していなかったからです。

Indiegogoがオープンプラットフォームだとするなら、Kickstarterはアップル社のiOSのようだと言えそうです。


◉クラウドファンディングの未来


Indiegogoなどのクラウドファンディングサイトは、起業家の収益向上を支援するのみならず、投資家にも見返りがあると考えていますが、Kickstarterは投資家の資金づくりを促進していません。
もちろん、Kickstarters自体は営利目的の会社で、2009年にベンチャーキャピタル資金を1千万ドル集めたと言われています。また、エクイティ型クラウドファンディングを推進しているコンサルティングおよびアドバイザリー会社、Crowdfund Capital Advisorsの共同創設者、ジェイソン・ベスト氏は「Kickstarterはおいしい仕事をしているのです。変えたくないのも筋が通っています。」と言ってい「ます。

また、エクイティ型クラウドファンディングでは、オンライン詐欺や、経験の浅い投資家による下手な投資判断が増えるのでは、との懸念が高まっています。
ウェブサイトは、消費者が注意深く行動しなければならない場であり、クラウドファンディング(エクイティ型含め)も例外ではありません。確かに、赤の他人を操り人形学校に通わせるための資金を提供した後に、後悔する人もいます。
しかし、クラウドファンディングに参加したい人にとっては、支援に相応しい人物およびプロジェクトを見つける手段が増えているのです。

このようなサイトの新しい波として、クラウド上で資金提供受けた製品のデザインや配布に特化した「CrowdSupply」、科学プロジェクトに特化した「Microryza」、TシャツのKickstarterを自称する「Teespring」というサイトもあります。
おそらく、チーズ職人ベンチャー向けのサイトが登場するのも、そう遠くはないかもしれません。

今後も、注目の集まる分野だと言えそうです。

BY ZUU online編集部