本記事は、安部 哲也氏の著書『13歳からのリーダーの教科書』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
自分自身を理解しよう!
自分自身をよく知ろう!
「あなたはどんな人ですか?」
「長所や短所は何ですか?」
「好きなこと、嫌いなことは何ですか?」
「あなたの将来の夢はどんなことですか?」
このような質問にすぐに答えられますか? 意外と難しいと感じた人も多いのではないでしょうか?
実は、このような自分自身についての質問に答えることは、学生にとっても社会人にとっても難しいものです。自分には自分が客観的に見えないからです。筆者自身もすぐには答えられません。
「汝自身を知れ」とは、古代ギリシアの哲学者ソクラテスの言葉です。ソクラテスは、自分自身を知ることがたいへん重要であると述べています。
それでは下記の自己分析の方法を用いて、本当の自分に迫ってみましょう。
自己分析のやり方
自分自身を分析する基本的な3つの方法をご紹介します。
1. 自分で自分に質問する
「自分の将来の夢や、やりたいことは何?」
「自分の長所と短所は何?」
「好きなこと、嫌いなことは?」
自分の夢や長所と短所を理解することは、セルフリーダーシップを向上させるために重要です。また、好きなことや、嫌いなこと、ワクワクすることなども、同様に把握しておきたい自分の個性です。
2. アセスメント(分析)ツールを使う
例えば、人々の性格を16のタイプに分類するMBTI(マイヤーズ=ブリックス・タイプ)診断など、無料で使える診断サイトもネット上にあります。またアメリカ・ギャラップ社のストレングスファインダーという強み発見ツール(有料)も参考になります。ほかにもこのような性格診断系のサイトはあるので、友だちや先生と相談しながら自分に合うものを探してみましょう。
3. まわりの人からのフィードバックをもらう
まわりの人からのフィードバックも参考になります。家族、友人や先輩、先生などからの意見を聞くことで、より客観的に自分を理解できるようになります。
例えば「あなたからみた私の長所と短所って何でしょう?」や「どこを直すとよいでしょうか」などとほかの人に聞くのもよいでしょう。
人生100年時代のセルフリーダーシップ
ロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授の著書『ライフシフト』において、「人が100年以上生きる時代においては、人生設計のやり方が変わってくる」と述べられています。かつての「20歳代まで学び、20歳代から60歳代まで働き、60歳代以降リタイアして老後を過ごす」という単純な3ステージの人生から、「常に学び続け、いろいろな形で働き、時には2つ以上の仕事をし、独立・起業し、何度かリタイアし、仕事に復帰する」ようなマルチステージの人生に変わってくるということです。
このようなマルチステージの人生においては、1つの会社や組織に依存せず、人生において何度も、自分の生き方や働き方を設計していく必要が出てきます。
このような人生100年時代の生き方や働き方の設計においては、自己理解が重要になってきます。
自分らしさって何だろう?
自分らしさって何だろう?
「自分らしさ」とは、自分をよく理解し、ありのままの自分を受け入れることであり、リーダーでもメンバーでもすべての人にとって大切なことです。自分は自分であり、決して自分は他人にはなることはできません。
「自分らしさ」の発見には、自己理解が大切です。これは長所も短所も含めたありのままの自分を知ることです。決して自分と他人を比べる必要はなく、他人の期待やまわりのプレッシャーに左右されない、本来の自分を発見しましょう。
自分らしさを理解し、受け入れることは、心の健康や幸福感を高め、満足度を向上させることに役立ちます。以下の方法で自分らしさを探求していきましょう。
1. 自己分析・理解する
前項を参考に自分の長所や短所、好きなこと、価値観、信念、過去の経験などをよく考え、自分自身について深く掘り下げましょう。
2. 好きなこと、ワクワクすることに集中する
心から好きなこと、ワクワクすること、楽しめることを見つけたら、できるだけそのことに集中しましょう。
3. 他人と比較しすぎない
「自分らしさ」を見つけるためには、必要以上に他人と自分を比較しすぎないようにしましょう。自分自身のことに集中しましょう。
4. ありのまま自分を受け入れる
長所も短所もありのままの自分を受け入れ、自分を否定せず、自分自身を信じましょう。
5. 人生の夢やビジョンを意識し学び、成長する
自分の人生の夢やビジョンを意識し、新しい経験や学びを受け入れ、成長し続けましょう。
ありのままの自分自身を受け入れ、自己成長、自己実現の道をすすむことが、本当の「自分らしさ」を追求する方法です。
「自分らしさ」を見つける旅は続く
社会人になってからも、「自分らしさ」に悩むことがあります。ある企業では、新入社員のとき、それ以降も数年に一度「自分らしさ」を見つめなおし、自分のキャリアを考える研修を行っています。欧米では、このような「自分らしさのリーダーシップ」は、「オーセンティックリーダーシップ(本物のリーダーシップ)」として知られています。
経験と学び、成長により年を経るごとに「自分らしさ」は変化していきます。「自分らしさ」を探求し続けましょう!
客員教授聖心女子大学国際交流学科非常勤講師。福岡県生まれ。修猷館高校卒業。中央大学法学部卒業。BOND大学大学院 経営管理学修士課程(MBA)修了。パナソニック国内・海外部門にてシステムエンジニア、営業、マーケティング、企画、海外(香港)駐在など、リーダーシップ、マネジメントを経験。2002年、企業向け人材開発・コンサルティング会社EQパートナーズ(株)を設立。社長として同社を経営し、チーフコンサルタント・講師として、NTT、NTTドコモ、パナソニック、東芝、キオクシア、NEC、損保ジャパンなどで、経営者向け・次世代リーダー研修、女性リーダー研修、部課長・主任向けマネジメント研修などを多数実施。2005年より立教大学大学院ビジネススクールにて、リーダーシップ理論、起業家理論、交渉理論、修士論文指導などを担当。主な著書に『新版 課長の心得』『世界標準のリーダーシップ』(どちらも総合法令出版)、『World-Class Leadership』(World Scientific)