この記事は2024年10月25日にSBI証券で公開された「逆風を吹き飛ばす好業績期待銘柄16選」を一部編集し、転載したものです。
目次
逆風を吹き飛ばす好業績期待銘柄16選
東京株式市場は軟調な展開です。23日(水)-24(木)の日経平均は、一時、心理的節目の38,000円を下回る場面がありました。日本の衆議院選挙や、米国の大統領選挙、中東情勢の悪化懸念など地政学リスクが意識され、投資家がリスクを取りづらい状況が続いています。また、マグニフィセント・セブンをはじめとする米大型株の決算発表を翌週(10月第5週)以降に控え、業績動向を見極めたいとする動きが強まったことも株価を抑制したと思われます。
日本では、10/23(水)ニデックの決算発表を皮切りに、7-9月期決算発表シーズンがスタートしました。東京株式市場全体は軟調な株価推移が続く中、決算発表翌日のニデックは5%近く上昇しました。営業利益が上半期として2期連続で最高益を更新するなど、堅調な業績が評価されたようです。株式市場全般の地合いが悪い中でも、好業績銘柄への引き合いは強いと考えられます。
そこで、今回の「日本株投資戦略」では、3月、6月、9月、12月を決算期末とする銘柄を対象に、株式市場全体に逆風が吹いても耐えうる好業績期待銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。スクリーニング条件は以下の通りです。また、決算発表予定の企業数が多数のため、今回は【前半】として期間を設定しました。
① 時価総額3,000億円以上
② 決算期末・・・3月、6月、9月、12月
③ アナリスト予想が2社以上
④ 今期の市場予想(Quickコンセンサス予想)営業増益率が前期比+15%以上(黒字転換含む)
⑤ 今期営業利益の市場予想が期初予想から15%以上、上方修正されている
⑥ 2024/10/28~11/7に決算発表予定
⑦ 取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く
図表の銘柄は上記①~⑦の条件をすべて満たしています。
掲載は、決算発表予定日が早い順です。
一部掲載銘柄を解説!
関電工(1942)~堅調な国内設備投資が追い風。AI関連銘柄としても要注目!
■東京電力HD系の電力設備工事会社
発電所の電設工事や送電線・配電線の工事といった電力設備工事に強みがある電気設備工事会社です。東京電力HDの子会社であり、東京電力グループ向けの売上高比率は24.5%です(24/3期 単体ベース)。
■国内設備投資やデータセンター投資の拡大が貢献
業績拡大のけん引役の1つとなっているのは民間建設投資の拡大です。製造業の国内回帰の動きなどを背景に、生産能力増強を目的とした工場建設や、AI、クラウドサービスの普及拡大に伴うデータセンター需要の増加が、追い風となっています。
第1四半期(24年4-6月期)決算は、売上高が前年同期比+8.5%、営業利益が同+53.0%と増収・増益を達成しました。資材価格上昇などによる利益率の悪化が懸念されていましたが、完成工事総利益率は前年同期の11.1%から13.6%へ上昇するなど、資材高の影響を吸収して採算性が改善したことはポジティブと考えられます。
■市場予想は会社予想を大きく上回る
9/9(月)に会社は業績予想の上方修正を発表。中間期(24年4-9月期)の予想営業利益は前年同期比+55.6%の245億円(従来予想は同+4.2%の164億円)へ大幅修正されました。また、通期(25年3月期)の予想営業利益は前期比+5.0%の430億円(従来予想は同▲9.6%の370億円)と一転して増益予想に転じました。
会社は大幅な業績予想の上方修正を発表しました。しかし、市場予想(Quickコンセンサス)は前期比+15.3%の472億円と新会社予想を大きく上回っています。依然として業績の上振れ余地が大きいことがうかがえます。
同社の中間期決算発表日は10/31(木)を予定しています。堅調な実績が示されれば、改めて業績拡大への期待が高まる可能性があるでしょう。
▽日足チャート(1年)
▽業績推移(百万円)
西武ホールディングス (9024)~私鉄、ホテル、不動産、プロ野球球団etc 。「聖域なき流動化」を実施検討
■私鉄、ホテル、不動産、プロ野球球団etc と多様な事業を展開
連結子会社78社、持分法適用関連会社3社、持分法非適用非連結子会社 2社の84社で構成されるグループ会社です(24.3末時点)。
1922年、武蔵野鉄道が川越鉄道を吸収合併し、前身の「西武鉄道」が誕生。東京北西部や埼玉を地盤とする鉄道や、プロ野球チーム「埼玉西武ライオンズ」の運営で馴染み深い方が多いと思いますが、不動産やホテル・レジャー事業など、進出分野は多岐に亘ります。
主な事業の概要は以下の通りです。
※()内は、24.3期の(営業収益構成比率、営業利益構成比率)
▹不動産事業(14%、27%)
不動産の賃貸や運営がメイン。東京がガーデンテラス紀尾井町及びアウトレットモールなどの商業施設や、賃貸マンション、オフィスビル、保育所などを扱っています。
▹ホテル・レジャー事業(47%、42%)
日本最大級のホテルチェーン「プリンスホテル」ホテルを国内外で運営。日本60、海外28の施設数に上ります(24.6末時点)。不動産などの資産を所有せず、コストを抑えながら運営を受託するMC形式で成長拡大を図っています。2035年度で250ホテル体制が目標です。
レジャーでは「西武園ゆうえんち」や「八景島シーパラダイス」等の運営しています。
▹都市交通・沿線事業 (30%、28%)
東京都北西部と埼玉県南西部で、公共交通機関として鉄道業とバス業をメインに行っています。
■「不動産」を中核に成長目指す。「聖域なき流動化」を実施検討
24.3期の決算発表時に、中計(24~26年度)を発表。「不動産」を中核に、持続的な成長を目標に設定しています。
かつて「赤坂プリンスホテル」があった「東京ガーデンテラス紀尾井町」や、本社のある「ダイヤゲート池袋」は同社の聖域と呼ばれていました。
同中計では、聖域を含めたすべての保有資産を売却対象として、再投資を加速させる方針を示しました。IR資料のセグメントごとの表記は、従来は祖業の「都市交通・沿線事業」が先頭でしたが、今期(25.3期)から「不動産」に代わっています。
なお、東京ガーデンテラス紀尾井町の売却は、今期(25.3期)に実施計画ですが、既出の会社側の業績予想には織り込まれていません。
■業績堅調。インバウンド需要の取り込みに奏功
直近の業績は、堅調。今期1Q(24.4-6月期)は、売上高1,254億円(前年同期比7%増)、営業利益199億円(同36%増)と増収増益でした。
インバウンド需要の取り組みや宿泊費の値上げが奏功し、ホテル・レジャー事業が寄与しました。
コロナ禍以降の円安進行等により、行動規制解消後の訪日外客数は増加の一途を辿っています。24年9月の訪日外客数(JNTO調査)は、前年同期比31.5%増、8カ月連続で過去最高を記録。宿泊施設への需要が増しています。11/7(木)発表予定の2Q(7-9月期)も引き続き、インバウンド需要を背景とした業績拡大が想定されます。
通期会社計画では、営業利益が前期比6%減、経常利益が同7%減です。同決算発表で、市場予想(Quickコンセンサス)と同じく、一転増益が発表されれば、株価上昇に期待されるでしょう。
▽日足チャート(1年)
▽業績推移(百万円)
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。