富裕層の定義として、親の代からの相続財産に税がかかったか否か、と仮定することができます。いわゆる相続税ですが、税理士泣かせの手ごわい税制となっています。しかし、税収が伸び悩む中、富裕層には大事な話の一つといえます。
【参考】
オーナー企業のための事業承継vol1「事業承継の必要性と円滑化のための法制度とは?」
オーナー企業のための事業承継vol2「後継者選びのポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol3「後継者選びのポイントは?その2」
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◉富裕層の成り立ち
富裕層は、もともと新聞などで公表される高額所得者一覧という括りが一般的でした。これが個人情報保護の観点から廃止され、高額納税者、という情報公開に変わりました。納税額が多い、というのは「前の年の所得が多かった」ことをいい、一時的に土地を売却した、株式売買収入が多かった、などの例があります。ですから、毎年納税額が高額である富裕層とは別、と考えるのが妥当でしょう。
そう考えますと、富裕層の定義では「資産価値のある土地を保有」「資産価値のある建物を保有」「現金、有価証券を多額分保有」「資産価値のある美術品などを多数保有」などがいえるでしょう。これは一代で築き上げた方もおりましょうし、代々受け継がれてきたものもありましょう。いずれにせよ、その人が亡くなる時点で「相続税がかかる程の財産」を残した場合、この被相続人、相続人らは富裕層である、と云える訳です。
◉相続の際に起こる問題点
相続の際に起こる問題点を2つ取り上げます。
まずは相続税の問題。税理士の領域ですので、細かい数字は省きますが、まず遺産を整理して「○○銀行にいくらの預金があった」「非上場の株券がタンスから出てきた」「土地の権利書が金庫にあった」「都内のマンションの部屋鍵がある」などと情報を精査します。いっぺんには出てこない場合は、あるものざっくりで金額を算出します。不動産も評価額などを計算します。
そのあとは、相続税の基礎控除額を相続財産から引きます。この際、問題になるのが「土地の評価額」です。特に、小規模の土地(約60坪弱)には「本来の評価額の2割と計算する」特例措置や「5割とみなす」など、細かい条件で金額が左右されます。
また、夫が死亡した場合を「一次相続」、その妻がなくなったら「二次相続」といって、子供が相続する場合の控除額(配偶者控除がない)が変わってしまう問題点もあります。