国内の旅行者数は1990年をピークに、ゆるやかに下降している。長引く景気の低迷から、ツアー旅行も低価格化が進んだ。格安航空会社(LCC)が普及し、安い値段で旅行を楽しむことが出来るようになった。 その一方で、高級志向の旅行は増加し、市場は二極化。あなたが「高級旅行へ行く」としたら、予算はどのくらいだろうか。10万円だろうか、それとも20万円だろうか。世の中には、想像がつかないくらいの超高級な旅行が存在する。超高級旅行とはどのようなものなのか、また、高級旅行が支持をされる理由を探る。
完全オーダーメイド JTBの『ロイヤルロード銀座』
国内旅行業界最大手のJTBは高級旅行に力を入れ、『ロイヤルロード銀座』という高級志向の支店を設けている。さらにターゲットごとにブランドを取りそろえる。まず、ベースとなるブランドが『ロイヤルロード』で、完全オーダーメイドで旅行をデザインする。ビジネスクラスでの移動、高級ホテルでの宿泊を少人数限定で催行するのが『夢の休日』。
そして60歳以上のシルバー層をターゲットに、連泊を取り入れスケジュールにゆとりを持たせたツアーの『旅彩彩』に加え、音楽専門のツアーの『ライブ』、外国人を対象に日本国内旅行をオーダーメイドで行う『グローバルラウンジ』が用意されている。
阪急交通社でもセミオーダーから完全オーダーメイドまでを受け付ける『ロイヤルコレクション』という超高級旅行ブランドを設けるなど、各社が軒並み高級旅行へとアプローチを行っている。
なぜ高級旅行市場が活発化しているのか
近年、LCCやネットで申し込む格安ツアーなどを利用した、格安旅行の広告は特に減ったようには見えない。景気が急激に良くなったわけでも、旅行のブームが到来したわけでもない。しかし旅行業界の各社が高級旅行市場に力を入れているのはなぜなのだろうか。
その背景にあるのは、消費者層の二極化と団塊の世代のリタイア、リッチな外国人観光客の流入の3つが挙げられる。小泉政権以降、貧富の差は広がっており、ワーキングプアと呼ばれるような層が出来た一方で、富裕層の幅も広がっている。高級旅行はこうした人たちをターゲットにしているのだ。
また、団塊の世代のリタイアも見逃せない。退職金や年金がしっかりと受け取れる世代であり、リタイアしたとは言えまだまだ旅行する体力もある。お金と時間があるシルバー世代は、旅行会社には格好のターゲット。さらに中国人など富裕層の外国人観光客が増加したことも、高級旅行を後押ししている。
1億円超の高級旅行とはどんなもの?
数十万、数百万の予算だけが高級旅行ではない。世の中には1億円を超えるツアーも存在する。例えば、イギリスで企画された2年間かけてほぼ全ての世界遺産を回る旅では、約1億6,000万円という費用がかかる。世界一高価なお酒を飲むツアーでは、ペアで40日間の日程で約1億4,000万円。これは世界一高価なシャンパンやワインなどを各国で味わう旅となっている。さらに、4ヶ月かけて世界28カ国を回る約1億9,000万円の超高級ツアーが2012年に行われている。
高級旅行はどうやら日本だけではなく、世界的にも人気があるようだ。今後、どんな高級ツアーが売り出されるのか注目したい。
(ZUU online)
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