2月25日、東京商工リサーチが『銀行112行(2014年9月中間期決算) 「地方公共団体・中小企業等向け貸出金残高」』の調査結果を発表した。

これによると、銀行112行の2014年9月中間期の地方公共団体向け貸出金残高は26兆4393億円で、前年同期より4.6%(1兆1749億円)増加。112行のうち81行(構成比72.3%)で地方公共団体向け貸出金残高を伸ばし、9月中間期としては、4年連続で前年同期を上回った。地方公共団体向け貸出金残高の最多は北洋銀行の1兆2726億円(前年同期比1.5%増)で総貸出金残高に占める貸出比率は23.49%となった。次いで、みずほ銀行1兆272億円(同10.4%減)、福岡銀行8,060億円(同1.8%減)、三井住友銀行7993億円(同14.4%減)、常陽銀行7948億円(同2.7%増)と続く。これを貸出比率でみると北都銀行の34.10%(前年同期31.04%)、青森銀行33.65%(同31.12%)、秋田銀行24.45%(同21.27%)、北洋銀行23.49%(同22.52%)、岩手銀行23.27%(同21.40%)という順になり、東北地方の銀行が上位に顔を並べている。

また、中小企業等向け貸出金残高は279兆4556億円で、前年同期に比べ2.2%増(6兆1330億円増)と、3年連続で前年同期を上回った。112行のうち84行(構成比75.0%)で中小企業等向け貸出金残高を伸ばした。中小企業等向け貸出金残高の最多は三菱東京UFJ銀行の33兆3542億円(前年同期比0.5%減)で、三井住友銀行32兆9353億円(同0.8%増)、みずほ銀行30兆1280億円(同1.3%増)、りそな銀行14兆7242億円(同2.2%増)、横浜銀行7兆8023億円(同1.8%増)と続く。中小企業等向け貸出比率のトップはスルガ銀行の95.80%(前年同期95.75%)で、以下、大正銀行93.29%(同93.57%)、南日本銀行93.13%(同92.48%)、静岡中央銀行92.91%(同92.57%)、関西アーバン銀行92.42%(同92.26%)の順となる。

中小企業金融円滑化法が2013年3月に終了したが、その後も銀行は取引先の返済猶予に応じている。しかし、業績改善が遅れている中小企業は依然として多く、地場企業を取引先として多く抱える地方銀行や第二地銀は、中小企業等向けの貸出を伸ばすが、それ以上に貸倒リスクの低い地方公共団体向けへの貸出を増加させた。

金融庁は中小企業への貸出を促しているが、銀行は依然としてリスク回避の貸出姿勢に変化はない。日銀による金融緩和が積極的に行われているが、その資金が業績回復に喘いでいる中小企業に回っていないのが現状だ。中小企業には依然として厳しい状況が続いているといえる。

(ZUU online)

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