日本取引所グループ <8697> は、2015年4月をめどにインフラ施設へ投資するファンドが上場する「インフラファンド市場」を創設すると発表した。


アジアではすでに整備されている「インフラファンド市場」

インフラファンドとは、その名の通りインフラ施設に投資するファンドのことである。具体的な投資対象としては、再生可能エネルギー発電設備、鉄道・港湾施設など運輸関係、パイプラインをはじめとするエネルギー関係などがあり、これらがもたらす収益を投資家に還元するファンドだ。

これは、不特定多数の投資家が資金を出し合い不動産を保有し、その不動産がもたらす収益を分配するREITのイメージに近い。

日本取引所グループの今回の市場創設におけるスキームでは、ファンドがインフラ施設を直接保有する場合と、インフラ施設を保有する特別目的会社などの有価証券に投資する形態が想定されている。具体的に上場するのは、インフラ施設を投資対象とする「投資法人」または「投資信託」であり、個人投資家や年金基金も投資することが可能だ。

インフラファンド市場が創設されることとなった背景には、経済成長に伴い発展を遂げているアジア他市場との競争基盤整備がある。韓国、タイ、シンガポール等ではすでにインフラファンドが上場しており、日本はこれらの国に遅れを取っている状況であり、日本のマーケットを世界中の投資家に対し魅力を示し、資金を集めるためには、アジア他国で整備されているインフラファンド市場を創設する必要があった。

また、日本の財政状態が厳しいことも、インフラファンドが創設された理由のひとつである。債務残高の対GDP比が231.9%(2014年)と先進国の中でも突出して財政状態が厳しい日本では、政府の支出を容易にインフラ整備へ回せない状況になっている。民間の資金やノウハウを活用することで、より費用対効果の高い、効率的なインフラ整備が可能になる。

具体的な上場商品の中身は今後明らかになってくるが、投資対象が収益の変動が大きくないインフラ設備であることから、ミドルリスク・ミドルリターンのREITに近い性質を持った商品になると考えられる。


海外のインフラファンド

先述した韓国、タイ、シンガポールのみならず、インフラファンドは様々な国で上場している。世界のインフラファンドの現状を見てみよう。

やや古いデータだが、東京証券取引所の「上場インフラ市場研究会」によると、2013年1月30日時点で上場インフラファンドは世界で約50銘柄、時価総額は10.4兆円だ。最も時価総額が大きいのはオーストラリア証券取引所で、同時点で3兆7,051億円と、世界の時価総額のうち35.6%を占めている。

次に時価総額が大きいのはカナダのトロント証券取引所で、時価総額2兆5,082億円、アジアで最も大きいのはシンガポール証券取引所で1兆3,054億円だ。他にもロンドン証券取引所、ニューヨーク証券取引所にもインフラファンドが上場している。世界の状況を見ると、世界有数の時価総額を誇る日本の取引所において、インフラファンド市場が無かったことが不思議に思える。

日本におけるインフラファンド市場創設の流れに伴い、グローバル・プレーヤーも日本市場に関心を寄せている。そのひとつが、世界のインフラファンドビジネスにおいて著名な金融機関・豪マッコーリー。マッコーリー・グループはオーストラリア最大の投資銀行で、様々なインフラファンドビジネスを手掛けている。

日本においては前田建設工業 <1824> と提携してビジネスを進めており、関空・伊丹空港の運営権取得にも強い意欲を示している。また、米フォートレス・インベストメントグループが日本のインフラ投資に特化したファンドの設定に着手するという。

安部政権の公共投資を重視する成長戦略や金融緩和路線が今後も続けば、新たに誕生するインフラファンド市場はしばらく拡大が続くだろう。4月の市場創設に注目だ。(ZUU online 編集部)

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