ハラール
(写真=Thinkstock/Getty Images)

日本政府観光局(JNTO)によると、2014年の訪日外国人数は前年を約3割上回る1千300万人を超えた。円安が追い風になったことに加え、アジア諸国のビザ緩和、免税品目の拡大、海外における観光PR強化など、政府の取り組みも増加を後押しした。

訪日外国人の懐を狙った様々な戦略が展開されるのは当然ながら、中でもムスリム(イスラム教徒)市場への取り組みがクローズアップされている。


訪日者を足掛かりに、巨大市場を狙う

ムスリムは世界人口の約4分の1、およそ16億人にのぼると見られている。特にアジア太平洋地域には10億人近くのムスリムが住むと言われ、その経済成長と著しい人口増加から極めて有望な市場として注目されている。

そして近年、訪日するムスリムが急増している。先のJNTOの推計値では、ムスリムが多いマレーシアからの観光客は2014年に前年を4割以上も上回る約25万人、インドネシアからも同様に16%増の約16万人となっている。

ムスリム市場への取り組みとは、単に訪日観光客による消費のみをあてにしているわけではない。背後に控えている巨大市場をターゲットに定め、ムスリムの人々にとって快適な生活環境を模索する動きが見えてくる。


キーとなるのは、「礼拝」と「食」

ムスリムにとって、最も大切なのは1日に5回義務付けられている礼拝(サラート)だ。ちなみにこの礼拝は、世界のどこにいたとしても必ずメッカに向かって行われなければならないのだが、正確にその方角を知るため日本製の磁石が重宝されているのだという。

さらに、ムスリムは戒律で不浄なものとされる豚由来の食べ物やアルコール類を含む食品を口にできない。このため、ムスリムの多い国々では食品などがイスラムの教えにのっとった健全なもの(ハラール)であるかどうかを第三者機関による「ハラール認証制度」に委ねている。

同制度では、食品に豚肉以外の食肉が使われていたとしても、処理をしたのがムスリムなのか、保管や輸送の際に豚肉と一緒になっていなかったのかなど、その規則は細部にわたる。ハラールの認証は今やムスリム市場における通行手形に値するものと言えるが、多くの日本企業が厳しい条件のクリアに成功しているのも事実だ。
ハラールに向き合う日本企業

一昨年末に開業した「イオンモール幕張新都心」に祈祷室を設置して話題となったイオン <8267>は、グループ企業を通じて、マレーシア24番目の施設となるイオンモール タイピン(AEON MALL TAIPING)をオープンさせた。デリカ、ベーカリーコーナーでハラール認証済み原料のみを使用したパンやピザを提供するほか、地域で人気のタピオカ入りミルクティーを、マレーシアで初めてのハラール認証済み商品として展開している。

また、日本通運 <9062>のマレーシア現地法人マレーシア日本通運は、昨年末にイスラム教の作法に沿った洗浄などをクリアした専用車両を導入するなど物流に関するハラール認証を日系物流企業として初めて取得している。


求められているのは本腰を入れた取り組み

ムスリム市場向けのビジネスを考える上で忘れてはならないのが、すでに「ハラール」の概念がムスリム以外にも波及していることだ。たとえば、ハラール製品の安全性は、ムスリムに限らず高い評価を得ている。

2010年、ハンバーガーショップとしてフランス国内第 2位の大手チェーン・クイックは、同国内全366店舗のうち22店舗で「ハラール」食品のみを扱うと発表した。もともと相当数のイスラム教徒が住むフランスだが、典型的な大衆向けハンバーガーショップがムスリムの顧客に配慮したメニューや店舗の運営方法をとったことで、大きな話題となった。

いずれにせよ、ムスリム市場に対して「表面的な迎合」は許されない。本腰を入れた取り組みこそが、ムスリム市場を発起点とする限りなく拡大するマーケットに向けてのメッセージとなるはずだ。(ZUU online 編集部)

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