○2014年の株式相場の2つのポジティブ要因


とはいえ、年初から春にかけては2つの理由で、まだ株価上昇余地があると考えられます。一つはアメリカの動向です。アメリカで実施されている金融緩和(簡単に言えば、市場にお金をたくさん出しますので、価値が安くなったお金を使ってリスクをとってくださいねと促す金融政策のことです)がわずかながら縮小することが2013年12月に決まり、今後段階的に終了の方向へ向かうことが予想されていますが、次は日本での金融緩和が実施されるであろうと予想されています。アベノミクスの第一の矢は大幅な金融緩和の実施で、2012年11月中旬から為替レートが円安に向かい、株価が上昇したのは記憶に新しいところでしょう。

実施のタイミングとしては消費税率が8%になる4月ごろになると思われます。日本での金融緩和は日本円の価値を下げる、つまり円安をまねくことが多いので、モノを作って外国で売っている企業の業績にプラスに作用します。日本は現在でもモノづくりを生業とする企業がたくさんありますから、円安は日本全体の稼ぎに貢献してくれることにより、日本に投資しようとする人が増え、経済ニュースに明るい話題を提供するのです。

もう一つの理由は、2014年から個人投資家向けに開始するNISA(小額投資非課税制度)による買いが年初は活発になるであろうと予想されていることです。NISAは一人当たり年間100万円までの投資について10年間売却益等が非課税になる制度ですが、これは投資非課税と名がつくように預貯金では利用できないため、必然的に株式等のリスク商品へお金が流れることでしょう。一人当たり100万円でも多数の人が利用すればおのずと大きな金額になりますね。1月からスタートするNISAを利用する人たちのそこそこ大きな資金の一部が年初からしばしは株式を買う資金になると思われますから、当然株式市場にプラスの効果をもたらすことでしょう。
よって2014年の株式市場は年初から春にかけて円安とNISAの効果により上昇が期待されますが、4月の消費税率上昇を控えた3月までの駆け込み需要の反動が明らかになってくるであろう夏ごろには低迷するのではないかと思われます。これが過去15年の7年周期説にも偶然ですがぴったり当てはまります。


○2014年前半の株式相場ののネガティブ要因


例年4月の後半から5月にかけては多くの企業が3月末の決算を発表し次年度の業績予想を出すのですが、この予想が例年控えめに出される傾向があります。控えめに出された企業の株式は投資家の期待以下という理由で一時的に売りが多くなる傾向があります。これも春以降低迷する要因として挙げられます。2013年も2012年11月中旬の衆議院解散以来の上昇のピークが2013年5月で、それ以降夏が終わるまではやや低迷しました。これは1年という短い周期で日本株市場を見た場合に近年はよく見受けられる傾向です。

というわけで、2013年の大幅上昇の波に乗り遅れたとしても、春までの上昇チャンスを手に入れられる可能性はあるかもしれません。株式市場には”Sell in May”(5月に売れ)という格言があります。5月に高値を付けてそれから低迷することが多いことに言及した格言ですが、これから株式市場に参加したいと考えておられる方で、損を可能な限り避けたい方は、この格言にならって、年初に買って、4月末に利益が出ているようであればその時点でいったん売却して利益を確定することも選択肢かもしれません。このスケジュールですと、2月・3月決算企業の銘柄であれば、株主優待や配当の権利も得られることが多いというメリットもあります。

過去の相場通りに未来の市場が動くわけではありません。ただし、ある程度の周期性があるということは事実でしょう。過去の相場から学びながら、今後の相場の波をうまく乗りこなしていって頂ければと思います。本年も何卒宜しくお願い致します。

【参考】
2014年、日本経済大予測!vol1~各経済誌の注目業界と予想のまとめ~
2014年、日本経済大予測!vol2~身近な注目業界と見通しのまとめ~
2014年、日本経済大予測!vol3〜展望を占う5つの重要キーワード〜
2014年、日本経済大予測!vol4~各経済誌の株式・為替相場見通しのまとめ~
2014年、世界経済大予測!vol1~欧米中・新興国の株式・為替相場予想のまとめ~

BY:ZUU online編集部

photo credit: Sharon Mollerus via photopin cc