韓国経済
(写真=Thinkstock/Getty Images)

輸出が牽引してきた韓国経済を、ウォン高、過剰生産、家計債務という三重苦が襲っている。沈みつつある韓国経済は、再浮上することができるのだろうか。


成長率低下に見舞われた韓国経済

韓国銀行(中央銀行)は4月、2015年のGDP成長率見通しを、従来の3.4%から3.1%に下方修正した。またあわせて消費者物価指数(CPI)上昇率も、1.9%から0.9%に引き下げた。

GDP成長率は、年初に行われた3.9%から3.4%への引き下げに続くものであり、韓国国内では、このような状況が続けば経済成長率が2%台にまで落ち込むのでは、との見方も広がっている。


日本型デフレの再現? 韓国経済が直面する三重苦

韓国では、成長率とインフレ率の低下を受け、日本を悩ませた「デフレ」の影を見て「失われた20年」の再現との警告も出始めている。日本が苦しんだのは、円高、過剰供給(デフレギャップ)、資産デフレによる不良債権だった。一方、韓国は、ウォン高、過剰生産、そして家計部門の債務過剰という問題に直面しているのだ。


ウォン高―輸出競争力の低下

安倍首相が韓国の国民に恨まれるのは、経済政策によるところもあるのかもしれない。アベノミクスによる金融緩和は円安をもたらしたが、韓国経済はウォン高に苦しむこととなった。

韓国産業通商資源省によれば、4月の輸出は前年同月比8.1%のマイナスとなり、4か月連続でマイナスを記録、減少幅は2013年2月の8.6%以来の大幅な落ち込みとなった。輸出競争力が低下する中、韓国経済を牽引するサムスン電子も大幅な減益に直面。第一四半期の純利益は、前年同月比30%減に落ち込んでいる。


過剰生産―中国経済のニューノーマル

外需でも大きな変動に見舞われている。ここ数年、中国への傾斜を深めてきた韓国経済であるが、第一四半期は中国への投資で世界一位となり、また中国との輸出入額では日米に迫るなど、その対中依存度は高まる一方である。中国とのFTAの締結や、AIIBへの創立メンバーに参加したのも記憶に新しい。

しかし対中輸出依存度の上昇の結果、韓国経済は、中国経済の不振の影響も色濃く受けることになった。頼みの中国も、いまや成長率が7.0%に減速するなど、二桁成長が当然だったかつての中国とは異なる新状態となる「ニューノーマル」へ変貌したとといえる。さらには、不動産バブルの崩壊が公然とささやかれ、外貨建て債務のデフォルトが出始めている点も懸念材料だ。

またサムスンのスマートフォンがシャオミ(小米科技)との競争に苦戦を強いられた事に象徴されるように、韓国の輸出品目が他ならぬ中国の商品から輸出競争の挑戦を受けているという事態も発生している。サムスンは好調な半導体部門の新工場建設に、約1兆7000億円を投じるものの、デフレの中で供給力の過剰に苦しめられた経験を持つ日本からすると、過剰投資ではないかとの声も上がっている。


アジア主要国でもっとも深刻な家計部門の債務超過

内需についても、足元の家計部門の債務超過が韓国経済に重くのしかかっている。英エコノミクスは、「韓国の家計負債問題がアジア主要国の中で最も深刻」と指摘。昨年末に約118兆円を記録した家計債務額は、すでに「国内総生産(GDP)比80%台、可処分所得比150%を超えた」という。

供給過剰を、内需(消費)でカバーしようにも、その伸びしろはすでにないといえそうだ。ちなみに、韓国の平均賃金は購買力平価基準で、4万6664ドルとなり、すでに日本と大差はない。現在の韓国政府は、こうした三重苦に直面している。


一方でKOSPI回復という明るい兆しも

そうした中、韓国政府は、大企業の内部留保に課税する企業所得還流税制を含む税制改正を、昨年8月に決定し、今年3月より施行している。投資するか、賃上げするか、配当するか、いずれもなければ追徴課税を行うと発表している。

2015年に入り、韓国の証券市場は好調を記録した。4月21日には、7年4ヶ月ぶりの高値を記録、時価総額も史上最高値となった。

各国の緩和マネーが流れ込む「流動相場」だと観測されているが、その背景には、韓国中央銀行の相次ぐ利下げや、「創造経済」を標榜し輸出一辺倒から脱し賃金上昇などによる消費拡大を重視するといった、韓国政府の経済政策が好感された可能性もある。

しかし、その株高にも一服感が見えただけでなく、第一四半期の韓国への外国人直接投資額が3割近い減少を示した。特に中国からの投資が8割減になったという、蜜月関係にある中国の厳しい経済状態を映すかのような報道もされた。

果たして「長いトンネル」入りは回避できるのか。朴政権に対し厳しい目が注がれている。(ZUU online 編集部)

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