GDP
(写真=Thinkstock/Getty Images)

1〜3月の実質GDPは前期比0.6%プラス(年率2.4%プラス)となり、コンセンサスの同0.4%プラス程度(年率1.5%プラス程度)を若干上回った。

昨年4月の消費税率引き上げなどの景気下押しによる2四半期連続のマイナス成長(4〜6月期同年率6.9%マイナス、7〜9月期同年率2.1%マイナス)のテクニカルなリセッションから脱したことが、10〜12月期に続くプラス成長で確認された。

しかし、前2四半期の大きな落ち込みからの反動もあり、10〜12月期の同年率1.1%プラス(1.5%プラスから若干の下方修正)から成長率がもっと大きく加速することができたであろうことを考えれば、物足りない結果であるとも言える。


1〜3月実質GDP成長率は「物足りない」

物足りない一つの理由は、消費税率引き上げによる消費者心理の萎縮がまだ残っていたことだ。消費税率引き上げは、社会保障と税の一体改革で決定されたもので、財政や社会保障制度に関する家計の将来不安を和らげる効果、すなわち「安心効果」があり、消費にはポジティブに働くというのが政府・日銀のロジックだった。

しかし、その「安心効果」はまったく確認できず、賃金上昇がまだ弱い中での消費税率引き上げは拙速だったと考えられる。1〜3月期の名目雇用者報酬(総賃金)は前年同期比1.3%増と拡大していることが確認されているが、消費者物価(消費税を含む)は同2.3%上昇しているため、実質の伸び率はマイナスとなってしまっている。

1〜3月期の実質消費は前期比0.4%プラス(10〜12月期同0.4%プラス)と引き続き控えめな伸びにとどまった。

もう一つの理由は、米中の景気回復が鈍く、輸出の回復ペースに加速感がみられなかったことだ。1〜3月期の実質輸出は前期比2.4%プラスと、10〜12月期の同2.8%プラスから若干鈍化した。外需の前期比寄与度は-0.2%と、これまで予想されていたプラスから下振れた。


4〜6月期からの成長率は加速へ

一方、堅調な企業収益が設備投資を回復させる力が見え始めた。1〜3月期の実質設備投資は前期比0.4%プラスで、4四半期ぶりにプラスとなった。4月の新年度入り後、企業の経営計画は更に積極化するとみられ、今後は設備投資が成長を支えていくことになろう。

失業率が自然失業率である3.5%を下回り始め、総賃金の強い拡大が消費を押し上げる動きが更に強くなってくるだろう。これまでの原油価格の下落により、消費者物価が伸び悩むことが、新年度入り後の賃金上昇と合わさり、消費者の実質所得の回復感を強くしていくだろう。

そして、米国の景気回復がより力強くなっていくことにより、輸出はより堅調な回復をみせていくと考える。日本の輸出の中心は、消費者が購入品目をすぐに変えることができる耐久消費財から、企業が購入品目を変えるのに時間がかかる部品や資本財に変化してきており、円安による価格の低下から輸出数量の増加までにはより時間がかかっていたが、とうとう増加する局面に入ったと考えられる。

企業・消費活動も一段と強くなり、4〜6月期からの成長率は更なる加速がみられるだろう。
2015年10月に予定されていた消費税率の再引き上げが2017年4月に延期されたため、2015年の景気に対する下方リスクは大きく減じられた。

安倍首相は、2017年4月の消費税率引き上げまでに日本経済を確実にリフレイトするという決意と成長戦略の遂行を表明している。2015年は、消費税率引き上げにより一時的に衰えたデフレ完全脱却に向けた動きは最加速し、賃金上昇と強い名目GDPの拡大により、そのリフレの力を実感し始める年になるだろう。

大規模な金融緩和により長期金利が抑制されている中で、名目GDPの本格的な拡大が始まっている。名目GDP成長率(膨張の力)が長期金利(抑制の力)をバブル期以来はじめて持続的に上回るようになっており、本格的なリフレ局面の入り口に来ていることを、マーケットはまだ過小評価していると考える。

この名目GDPのトレンドとしての拡大に加え、これまでの原油価格の下落による交易条件の大幅な改善がGDPデフレーターを押し上げたため、1〜3月期の名目GDPは前期比1.9%プラス(年率7.7%プラス)と極めて強く拡大している。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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