経営の透明性と説明責任を表現する情報開示の試み

コンプライアンス、リスク管理の観点から見たFitbitの特徴は、ヘルスケア業界全体で、個人情報漏えいやサイバー攻撃被害が増加するなか、個人情報保護やセキュリティ上のリスクを積極的に情報開示している点だ。

同社のS-1を見ると、名前、住所、電話番号、メールアドレス、決済情報、身長、体重、生体情報、GPS測位の位置情報、行動パターンなど、様々なユーザーから収集する健康・フィットネス関連データの収集・取扱い方法やそれに付随するリスクについて、詳細な情報を投資家向けに公開している。この辺りも、メディア企業出身者ならではの姿勢が伺える。

日本の場合、医療、運動、介護福祉など、ヘルスケアに関わる専門職や技術者がスタートアップを起業するケースが多いが、専門領域以外で、経営者が培ってきた経験やノウハウを反映させたビジョンや戦略を落とし込むレベルまで至っていないケースが目立つ。
Fitbitの企業ホームページのプライバシーポリシーや利用規約を見るだけでも、日本のヘルスケアスタートアップ経営者が学ぶべき点は多い。

笹原英司(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)
宮崎県出身、千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク管理関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所などで、Health-Techスタートアップに対するメンタリング活動を行っている

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