現在、金融市場ではFRBがいつ利上げに踏み切るのか、またその上昇幅をどこまで継続するのかに大きな注目が集まっている。しかし、その裏側で第二のサブプライムローン問題の気配が見え始めている。それが自動車版サブプライムローン問題だ。
3月には米金融機関大手のウェルズ・ファーゴが自動車サブプライムローン市場を抑制する方針を打ち出すなど、金融市場にもすでに変化が見られている。
自動車販売好調の裏には低所得者向けローンの存在
米国の調査会社オートデータがまとめた2015年5月度の全米自動車販売は、前年同月比で1.6%増加、季節調整済みの年率換算は1779万台となっている。
サブプライムというと、不動産のローンだけがターゲットと思われる方も多いだろう。だが実は、優良客であるプライム層よりも下位の層で、通常ローン審査には通らないような信用度の低い人に向けてローンが自動車販売にも用意されている。これが好調な全米の自動車セールスを支えているわけだ。
2008年の金融危機直後は、さすがにすべての金融機関がサブプライムローンの引き受けに慎重な姿勢を見せていた。しかし、2012年ごろから次第にその引き受け姿勢を和らげる動きが顕在化している。この背景には、3回にわたるQE・量的金融緩和を追い風に貸し出しが急増してきたといえる。
市場規模も小さく、もともとの滞納率も低いことから徐々にその貸付条件が緩み、低所得者向けのサブプライムローンの残高が急増しているのだ。対照的に、中・高所得者向けローンの伸びは緩やかにとどまっている。
米国格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によれば、この自動車向けのサブプライムローンの残高は2015年中に220億ドルに膨れ上がり、過去最高を更新すると予想されている。
FRBの利上げが市場に大きな影響を与える可能性も
現時点でもすでに、この関連のローン金利では20%に達するものがある。自動車ローン金利が上昇に転じれば、こうしたサブプライムローンが先行して利上げの対象となり、応分の影響がでることは確実と見られる。特に過度に長期のローンを組んだ案件や、車の価格以上にローンを設定して余剰金を上乗せした案件などは、契約者の焦げつきや破綻を生じやすい。変動利率で契約しているものは、今後想像以上に損失が広がる可能性がある。
果たして大きな損失を抱える問題に発展するのか、沈静化に向かうのかが実に注目される状況になっている。仮に大きな損失を出さずにすんでも、利上げが米国の自動車販売を冷やすことは明らか。世界を牽引してきた一人勝ちのアメリカ経済の減速につながることも危惧される状況だ。(ZUU online 編集部)
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