金融相場は株や為替に限らず、あらゆる相場において昔から値幅調整と日柄調整のふたつの調整局面が存在し、それぞれが適宜相互に機能することで健全な相場を形成してきた。
江戸時代にローソク足を開発し、酒田五法を生み出した本間宗久の時代から、値幅調整と日柄調整は健全な相場を持続させるための重要な機能として存在してきた。
相場が上昇をはじめ投資家が買い上がったところでは必ず調整が始まる。ひとつは、利益確定の売りが出ることから価格が下がって落ち着く値幅調整、もうひとつは、下がりそうで下がらず日数が経って膠着する日柄調整というものだ。
従来、この2つの調整局面が交互に機能を発揮することで、下落のあとに自律反発し大きく上昇するばねとして機能してきた。
しかし2013年に日銀が量的金融緩和という名の金融抑圧政策を始めて以来、この相場の自律的な健全性を保つための値幅調整はまったく機能しなくなり、相場の様相が大きく変化してきている。
値幅調整なしの日柄調整のみの相場は膠着感満載
日銀が量的金融緩和を発表し、自行で国債とETFを購入し、PKO(Price Keeping Operation)と称される準公的機関が周辺で相場の下値を支えるようになってから、こうした相場の値幅調整機能が働かなくなってしまっている。
結果として相場にヘルシーな雰囲気はなくなり、実に人工的な動きが日常的に見られるようになってしまった。
この状況が顕著なのは日経平均で、前日に対して一定のマイナスがあると370億程度のETFを日銀が事務的に購入するため、値幅で調整しようにも調整のしようがないのが実情だ。
値幅で自律的に調整することができないため、代わりに時間で調整する日柄調整だけに依存することとなり、相場は膠着しがちな状況に陥る。
こうした状況は為替のドル円でも顕著であり、下値を作為的に支える存在がいるため、相場の自律調整と反発ができない状況が続いている。
PKO相場は下値を抑えてしまうため、結局上値も限られる。実は最近の中国のPKOによる介入も同様の状況で、直近では膠着し、相場は結局動かずに時間稼ぎをすることとなった。
相場は必ず想定を超える
実際の相場は人が想像する以上にダイナミックで制御不能の側面を持ち合わせている。日柄調整だけで膠着する相場を見てコントロールができていると思うのは、大きな錯覚と言わざるを得ない。
直近では中国・上海株式市場がバブル崩壊の危機に喘いでいるが、国内の株式相場は単に中国の影響を受けてリスクオフから売られるという単純な連係性ではない。
上海株式市場が売買停止で売れないためコモディティや日本株を手あたり次第にリスクヘッジのために売る投機筋が現れて大きな下げをみせた側面があるだろう。
中央銀行バブルを終焉に導くのは金利上昇
現在先進各国で展開されているのは、異常とも言える低金利を背景とした中央銀行主体のバブル相場だ。しかし、物価が応分に上昇すればインフレ対応から利上げに動かざるを得ない。
ひとたび金利が上昇しはじめれば、現状では成功しているかに見える各国中央銀行の金融抑圧政策との整合性がとれなくなるのも時間の問題だ。
国内でも2%の物価目標を達成してしまえば日銀の量的金融緩和はその大義名分を失うことになる。果たして長く続いた不自然な下値サポート相場が消滅したときに、市場はいったいどのように自律回復してくことになるのかが注目される。(ZUU online 編集部)
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