ネット証券口座の中でSBI証券を選択する人が多いわけですが、本稿では住信SBIネット銀行のSBIハイブリッド預金と組み合わせたSBI証券口座の使い方を解説します。 ハイブリッド預金は、預金保険制度の対象である上、買付余力にも高金利が付き、信用取引などにも使えるというメリットがあります。

SBIハイブリッド預金のシステム

SBIハイブリッド預金のシステムを一言で説明すると、住信SBIネット銀行の銀行預金口座とSBI証券口座を繋げるものです。 住信SBIネット銀行の銀行預金口座はいわゆる普通預金口座で、そこに入れた預金をそのままSBI証券の取引に利用出来ます。(要するに、SBIネット銀行の預金がSBI証券口座の買付余力になり、SBI証券口座で株式などを購入する場合は、住信SBIネット銀行の預金を使う事になります。)

また、逆に株式を売却すると、その売却額が自動的に住信SBIネット銀行の預金口座に戻ります。その出金日は約定代金の受渡日の当日であり、多くの証券口座のように翌営業日ではありません。

例えば、100万円をSBIハイブリッド預金に入金した場合、100万円が住信SBIネット銀行口座の預金になり、同時にSBI証券口座の買付余力となります。このうち、仮に80万円分株式や投資信託を購入したとすると、SBI証券口座で80万円分の株式の保有、残りの20万円は住信SBIネット銀行口座の預金(買付余力でもある)になります。その株式を売却すると、その約定代金は当日中に住信SBIネット銀行口座に戻ります。


売却時の買付余力にも高金利が付く

では、このシステムの何が良いかと言うと、買付余力に対して高金利が付くという事です。投資する過程で買付余力をどの程度残しておくかは投資家のスタンスや資金によっても異なると思いますが、一般的には「投資対象が無い場合」など買付余力が多くなると思われます。

この時、通常の証券口座では金利が付きませんし、都市銀行などの普通預金口座に出金するにも時間がかかりますし、出金したところで微々たる金利しかつきません。また、再び投資の為に証券口座に入金するにも時間がかかるので、結果的には証券口座に眠らせる事になりがちです。 しかし、図1を見て分かるようにSBIハイブリッド預金なら、2014年4月1日時点で個人投資家の場合は普通預金口座の5倍の金利0.100%が付きます。

図1:円普通預金とSBIハイブリッド預金の金利
出典: 住信SBIネット銀行ウェブサイト

この0.100%というのは、図2の円定期預金の金利を見ても分かるように、定期預金2カ月までの金利以上の利率になっています。一時的に投資対象が無い場合に資金を短期的に避難させる場合に付く金利としては十分ではないでしょうか。

図2:円定期預金の金利
出典: 住信SBIネット銀行ウェブサイト

SBIハイブリッド預金は「毎月利払」という特徴を持ち、毎月第三土曜日に計算された利息が、その翌日に入ります。

信用取引にも使える

先にSBIハイブリッド預金をSBI証券での取引に使えると述べましたが、これは通常の現物取引だけでなく信用取引にも利用出来ます。SBIハイブリッド預金の残高全てが信用取引口座に反映されるわけではなく、投資家が決めた任意の額だけを信用取引口座に反映させる事が出来ます。

預金保険制度の対象である

SBIハイブリッド預金は普通預金口座の一種なので、元本1000万円とそれに付随する利息分までが預金保険制度の保護対象になります。通常の普通預金口座より高金利と言っても、預金保険制度の範囲内においては無リスクなので、その点では明らかに通常の普通預金口座より優れていると思われます。

SBIハイブリッド預金の注意点

SBIハイブリッド預金は、買付余力にも高金利がつき、信用取引などにも使える上、預金保険制度の対象であるというメリットがありますが、一方で幾つか注意しなければならない点もあります。その主なものを補足しておきましょう。

まず、SBIハイブリッド預金の金利は円普通預金の金利と同様に変動金利です。現時点ではSBIハイブリッド預金は円普通預金に比べて高金利ですが、その金利を定期的にチェックする必要があるでしょう。

次に、SBIハイブリッド預金に直接入金する事は出来ません。代表口座の円普通預金に入金した後にSBIハイブリッド預金に振替えする必要があります。反対に、SBIハイブリッド預金から出金する場合も、代表口座の円普通預金に振替えなければ出金出来ません。要するに、SBIハイブリッド預金は、ATMなどで簡単に出金出来るような一般的な普通預金口座とは異なり、あくまでも「証券口座の買付余力に金利が付く」と解釈して利用すべきものです。

また、SBIハイブリッド預金は、住信SBIネット銀行の普通預金口座とSBI証券の証券口座を結びつけるものですが、その利用には別途若しくは新規の申請が必要です。両方の口座を別々に開設しただけではSBIハイブリッド預金にならないので注意が必要です。

参考文献: 住信SBIネット銀行ウェブサイト

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photo:SBI証券

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