リスクを持ち雇用を~業界関係者に一言

◆最後に業界の関係者の方々に、今回の職人問題に関しての議論を通じ、一言頂ければと思います。

宮嶋 : 今色々な全国の経営者の方とお会いする中で、どんどん経営スタイルがスマート化していると感じます。もちろん会社の利益追求は、企業体としてもちろんのことですが、その中でいかにリスクを持ちながら職人さんを雇用する覚悟が持てるかが重要だと思います。

私も18歳から職人業界に入りまして、非常に悔しい思いを多々しました。業界においての職人の価値というのが非常に下がっている中で、こうして経営者になった時に、その時の気持ちを思い出して何ができるのか。それが、私が今行っている塗魂ペインターズという団体の活動です。もちろん色んな業種・業態がある中で、決して人気職でないのは分かります。

ただ非常に心豊かな方々、職人さんが多い。私一人ではなんの力も無いところで、日本全国の同じ心を持った方々が、団体の中で共に横の連携をし、力が何十倍にも何百倍にも膨れ上がります。今はどこどこ団体、何々団体が味方か敵かなんて言っている場合じゃなく、やっぱりすべてが連携じゃないかなと思っています。どんどん輪が広がれば広がるほどすごく大きな動き、大きなものができる。

塗魂ペインターズも初めは4人5人で始まった団体が今120社になりました。でもたかが120社。これが300社、400社、500社になる中で、売り上げ規模じゃなくて、日本全体を変えられる力が増してくると思います。

小山 : 僕は今まで17年間左官の会社を経営してきて、ずっと悩んできたのは会社の中で職人さんに、こういうふうにやっていったらいいよねと話しても理解してもらえなかったことです。今この建設職人甲子園、ここの環境を利用させてもらっています。

上司が職人さんに、こうだからこうだよと言うよりも、他の会社で同じような立場の職人が頑張って一生懸命取り組んでいる姿を見て、自分自身で気づいて、よし俺も頑張ろうとなっていく力のすごさを知りました。建設職人甲子園はこれから全国47都道府県で地区活動を活発化していきます。そして職人さんが自分たちは何のため、誰のために働いているのかというのをお互い、建設28業種の垣根を越えて学んでいく環境を作ります。

本当に業界発展につながるのだったら自分たちが一歩前に出ますという熱い気持ちを持っている若い子たちもこの業界にはすごくいっぱいいて、その子たちの気持ちをつぶさず、僕たちが引っ張ってあげることから業界が活性化していくことにつながると思います。

仲本 : 実はこのクラフツメンスクールはまだ昨年の5月に設立したばかりの学校です。それを通して私が感じたことは人材育成に関して、本気で考えていくと必ず自分に返ってくるということです、必ずです。なんで人が足りないのかを本気で考えた時に、「この業界、仕事を本当に好きなのか」というところに戻ってくる。ですから本当に人材育成をしたいのであれば、自分がやっている仕事に誇りを持てるかを一回振り返ってみた方が良いのです。

そして、人材育成に対する熱い思いを持った人に会えることもものすごい財産です。そうやって自分の会社をまた良くしていくことができる。人材育成にはまずは皆さんが、自分の仕事に関して本当に誇りを持てる形になっているか、自分が本当に感じているかを一緒に考えてもらいたいと思います。(提供: リフォーム産業新聞 7月28日掲載)

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