(写真=PIXTA)
中国経済市場の減速が世界経済に混乱を招き、これを機会にインドが世界的経済発展の"バトン"を継承するのではないかと識者は分析している。
インド財務相「世界が必要としているのはインド」
中国経済の減速に関するBBCの取材に対し、インドのアルン・ジェートリー財務相氏は次のように話した。
「中国の"普通"はもう変わってしまった。中国経済成長率は9%、10%、あるいは11%という話ではもうなくなってしまったのだ。代わって今世界が必要としているのは、経済成長率8-9%に成長しうるインドのような国です。インドは世界経済を支えるために十分実行可能な責任を担っていると言えるでしょう」
多くのエコノミストは中国に代わり、次はインドが世界経済の中でさらに存在感を表すのではないかとみている。ブラジルやロシアが不況に陥る中、インド経済は見事な経済成長率を示しているからだ。実際、先週発表されたインドのGDP値は対前年比7%増、これは中国の第4四半期と同様の成長速度だ。
2016年の成長率は8.1%と予測
IHSグローバルインサイトのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏の分析予測によると、インドには今後中長期にわたって8-9%のペースを保ち成長する可能性がある。今後中国の経済成長率が2015年に6.5%、2016年には6.3%という減速傾向予測に対し、インドは2015年に7.6%、2016年には8.1%という成長率が見込まれており、BRICsの中でも最も早い経済成長率となる。
しかしながら、インドは「新・中国」ではないと専門家は警告する。インドよりも巨大な中国の市場規模はたとえゆるやかなペースであったとしても、まだ国際経済に貢献し続けるだろう。中国とインドの人口は似たような規模であるとはいえ、2014年度GDPはインドの2兆ドルに対し中国はその5倍の10.3兆ドルであった。インドの国民1人当たりGDPは中国と比べるとごくわずかなものであり、生活水準の低さと人材開発の乏しさを露呈した。
減速しても世界経済への影響は中国のほうが大きい
英キャピタル・エコノミクスのインド人エコノミスト、シーラン・シャー氏は、今後2-3年の間に中国が毎年5%のペースでGDPを保つにしても、まだ0.8-0.9%程の割合で世界経済に貢献するだろうと分析する。
それとは対照的に、インドが平均7%の割合で経済成長を達成しても世界経済への貢献は0.5%でしかない。このためアナリスト達は、インドよりも中国国内での発展が物価やエマージングマーケットに大きな波及効果があると考えている。
状況は変わるかもしれないが、それでも長期的にみると今後20-30年のうちにインド経済が中国のそれよりも早いスピードで成長すると識者は予測する。
この変化は、特にアジア諸国との貿易や投資フローに重要な成長の原動力になることが期待される。これをもとに、G20、IMF、世界銀行などの国際的な政策決定の場でも、インドの発言力がますます重要なものになるだろう。(ZUU online 編集部)
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