Airbnb
(写真=HPより)

Airbnb(エアビーアンドビー)の進出により規制の存在が改めてクローズアップされた「民泊」。要はホテルや旅館などの宿泊施設ではなく、民間の家庭に泊まることなのだが、政府としては海外からの観光客を増やしたいこともあってか、規制緩和の動きも出ている。


世界中に30万人、日本には2000人超のホストがいるAirbnb

Airbnbは2008年に米国で創業されたベンチャーであり、個人が所有している部屋を有料で旅行者に貸し出すためのプラットフォームだ。

今では192カ国・地域の3万4000都市におよそ30万人のホスト(部屋の提供者)が存在する。利用者も既に延べ600万人以上となり、さらにその数は増加し続けている。

日本では2014年から事業を開始しており、すでに2000人を超えるホストが登録をしている。現状では海外からの外国人観光客が利用者のほとんどで、実態に近いのは自宅を貸し出すシェアハウスもしくは有償で受け入れるホームステイといったところだろう。

しかし日本にはこうした宿泊事業を行うとなれば様々な法律の規制があり、合法といえるかどうか疑問が生じることになる。


法律上ではグレーゾーン

国内には民宿という仕組みがある。これは一般の民家が副業として安い料金で客を泊めることをいい、旅館業法第2条第4項の「簡易宿所営業」に該当する。宿泊する場所を多数人で共用する構造および設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。

営業には都道府県知事や市または特別区の市区長の許可を受ける必要があり、無許可営業は、6カ月以下の懲役または3万円以下の罰金に処せられることになる。

ただAirbnbを利用して第三者を泊めるとしても、個人が行ったことで、反復行為もないとなると、民宿と考えるべきかどうかグレーだろう。さらに食事も出さない場合、宅建業法上の短期賃貸契約とみなされる可能性もある。ただし、部屋を通年でシェアにした場合、事業者とみなされても仕方ない。また安価な価格で宿を提供することは、旅館やホテルなどの営業を妨げることになりかねない。


海外では様々な問題が続出中

海外では192カ国で事業として成立しており、順調なビジネスとして発展を遂げているかのように見えるAirbnbだが、実は様々な問題が生じている。

欧州では夏場のバケーションに1カ月単位で自宅を第三者のツーリストなどに貸すという習慣があることから、ホストが不在中にAirbnbを利用してゲストに貸すという行為は頻繁に行われるようになっている。

しかし実際にゲストに貸してみたところ、売春宿として利用していたケースが発覚したり、貸したゲストに家中を荒らされたりしたケースも発生している。また借りたゲストがホストとなり、又貸ししたことが発覚し、物件の有者から訴えられたケースもある。

Airbnbでは一定の条件が満たされれば貸主であるホストに最大1億円の補償金を支払う用意があるとしているが、どこまで補償されるのかは実際に問題が起こらないと分からない。

ホストが外国人の旅行者であるゲストに部屋を短期で貸し、交流する。こう聞くと微笑ましいが、海外の事例を見るかぎり利用者像を考えるにあたって、そうそう性善説に立てそうにはない。

今後もし殺人事件や爆発や火災といったことが起きれば、周辺にも重大な損失が発生する。加入している損害保険ではカバーできないような損失は十分に考えられる。事故物件となれば価値は大きく下がる。


五輪に向けて宿泊提供の規制が緩和?

TPPの締結に向けた合意がなされたこともあり、2020年のオリンピックに向けて、外人観光客向け宿泊については規制緩和が進むことも考えられる。

厚労省は農漁村の民泊を認める考えを示すなど、民泊に対する考え方も変わりつつある。地方都市では再活性化のきっかけとして積極的に利用する動きも想定される。

果たして健全な短期利用のシェアハウスとして機能するかどうか、しばらく注視しておく必要がありそうだ。(ZUU online 編集部)

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