株価下落
(写真=PIXTA)

IMFの年次総会が9日にペルーで開催され、主要トピックは新興国の経済混乱に終始し、「先進国の経済危機などどこ吹く風」といった空気で満ちていた。

新興国は長期にわたり先進国、特に米国の経済に依存する形で成長を続けていた。先進国の勢いが失われれば当然ながら二人三脚で失速する。米国における利上げの懸念と国際商品市況の下落が引き金となり、長年の継続的なキャッシュフローの動きが途切れた2013年、新興国の景気は一気に崩壊した。


問題が根深い新興国の「隠れ負債」 新たなバブル崩壊の予告?

歴史上繰り返し訪れる経済危機に各国はこれまであらゆる手段で対処してきたが、世界経済フォーラムはあくまで「問題の根本が明白だったため対策が打ち出しやすかった」と分析している。

今回の新興経済の混乱は根底にあるものが異なり、通常のバランスシート分析だけでは見落とされがちな「隠れ負債」の特徴(連続して生じる経済混乱、経済成長の促進あるいは安定過程)が見られるため、“新たなバブル崩壊の予告ではないか”という見方が強まっている。

たとえば2009 年から 2014年にかけて中国は年間GDPの18%をベネズエラに、10%をエクアドルに貸し出したことになっているが、実際の数字はこれよりも低いだろう(米ボストン大学が運営するグローバル・エコノミック・ガバナンス・イニシアティブと米シンクタンクのインターアメリカン・ダイアログの共同リサーチ。

また貿易金融やブラジル、アルゼンチンとの通貨スワップなどはリサーチの対象から除外されており、全ての貸し借りが含まれているわけではないことが推測される。そのため負債総額は予想額をはるかに上回るはずだ。


IMFが国際規模の共倒れにならぬよう警告 対策を投じる頃には手遅れに

IMFは先日発表した調査レポート中で、新興国の負債額が過去10年間で4倍(4兆ドルから18兆ドル)に膨れあがっている事実を指摘し、国際規模での共倒れにならないよう世界中に警告を発した。

予想以上に失速した中国、深刻な経済危機に陥ったブラジル、ウクライナに続いてシリアと紛争中のロシア、トルコ政局の混乱、ベネズエラのハイパーインフレなど、新興経済を不安定化させる要素が後を絶たない。また「外部要因によって引き起こされる経済のブレに、これらの国がどれほど対策を備えているのか」という点も不透明だ。

こうした背景をもとに分析すると、「これまでは利幅の大きさに惑わされ、新興国が抱える負債の巨大さが表面化しなかった」と考えざるをえない。しかし「隠れ負債」の全ぼうが明るみに出る頃には、何らかの対策を投じるには手遅れという危険性を十分すぎるほど、はらんでいる。 (ZUU online 編集部)

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