固定資産税
(写真=PIXTA)


はじめに

平成27年度税制改正では、アベノミクスの一層の推進のために、固定資産税の特例措置を含めて、不動産税制関係の特例措置はすべて延長された。

ただし、総務省が税制改正のために平成26年12月に作成した「平成27年度地方税制改正(案)について」では、次期評価替えまでに、「デフレ脱却の動向を見極めつつ、商業地等の据置特例の対象土地における税負担の不均衡や、現行の一般市街化区域農地の負担調整措置により生じている不均衡等の課題への対処について検討を進めるとともに、税負担の公平性や市町村の基幹税である固定資産税の充実確保の観点から、異なる用途の土地や他の資産との間の税負担の均衡化等、固定資産税の今後を見据えた検討を行う」(1)ことが掲げられ、引き続き課題が残されていることとなっている。

デフレからの脱却を確実なものとするためには、地価下落に結びつく固定資産税など保有税の実効税率上昇(2)を抑える必要があり、この点が平成27年度税制改正では十分考慮されたことは評価できる。

しかし、上記総務省案のように、平成30年度の評価替えに向けて、税負担の公平性や固定資産税の充実確保のために異なる用途の土地や他の資産との税負担の均衡化を図るという目標には、実質的な増税が可能となるようにしたいという意図が見えている。

増税に際して負担を強いられるのは不動産を所有する家計と法人であるが、固定資産税の場合は応益課税であるから、家計と法人にも地方公共団体の行政サービスを通じて便益が享受されており、単なる増税にはならないというのが徴税側の立場である。さらに、保有税収(主に固定資産税)のGDP比率は欧米に比べて低位にあるから、増税する余地があるとも言われている。

固定資産税は応益税か資産課税としての色合いが強いのか、不動産の所有者や工場等の償却資産への固定資産税収が福祉や介護等の幅広い行政サービス支出に充当されることは妥当なのか等々、多くの識者によって固定資産税の論点は議論されてきた。しかし、実際の行政サービス支出と固定資産税収や地価との関係などが情報として不足しており、応益性について検証した実証研究は少ない(3)。

一方、保有税収のGDP比率や総税収比率などは、OECD諸国の税目毎の税収を年度毎に時系列の変化が分かるように作成された歳入統計(RevenueStatistics)を用いて具体的に議論できる。

本論では、応益性などに関する議論の検討は今後の課題とし、OECD主要国の歳入統計等を用いて、固定資産税負担を他国と比較したり、税負担が及ぼす不動産価格への影響という観点からマクロレベルで分析したりすることによって、今後の固定資産税負担の程度とそのあり方を再考してみたい。